いまなお続くロシアによるウクライナへの軍事侵攻。
こうした中、日本の武道を教えるため、島根県松江市の男性が5年ぶりにロシアを訪れました。
この男性が見たロシアの現状は。

重吉伸一さん
「島根県松江市の重吉です。ここはモスクワ空港ですが、普通の人はあまり変わった様子はありません。戦車が通ったりとか軍服を着てる人はほとんどありません」

モスクワ空港で撮影しながら現地の様子をしゃべっているのは、松江市の武道家・重吉伸一さんです。

江戸時代に大名茶人として知られた松江藩主・不昧公。実は文武両道の殿様でもあり、重吉さんは、その不昧公ゆかりの不傳流居相術を伝えています。

海外にも多くの弟子を持ち、3月から4月にかけて現地の武道団体の要請を受けロシアで指導を行いました。

コロナによる中断を経て5年ぶりの訪問でした。

重吉伸一さん
「戦争しているということでまず入れるかどうかなっていう所もあって。もしかして撃たれたらいけんとか」

重吉伸一さん(撮影・リポート)
「人が歩いております。戦争ということをほとんど感じさせない、日常、普段の日常生活のロシアの風景です」

今回の訪問先は、ウクライナ国境からわずか500キロほどのサラトフと、中央アジアのスルグドの2か所。

戦争中という雰囲気はなく、ロシア人たちも以前と変わらなかったといいます。

ロシア国内にはかなりの数の武道教室があり、本場の技術を学びたいという依頼で、コロナ禍前は頻繁に指導していた重吉さん。
言葉は話せませんが、身振り手振りは慣れた様子です。

重吉伸一さん
「体を使ってここはこうだとか、ジェスチャーって言いますかね」

ただ、一見戦争の影はなかったものの、実は弟子にも戦死者が出ていました。
重吉さんは、自らの指導を通じて、日本武道の和の精神が広まればと話します。

重吉伸一さん
「ロシアもウクライナも弟子がいるので、戦争は良くないですね。(ウクライナでは)何人か亡くなってるみたいですね。やっぱり戦争に行って」

弟子同士が争う不条理な戦いに重吉さんは心を痛めています。