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今から3時間前にあったことを記しておく。
こんなことが日本の田舎であったんですよと誰かに言いたい。 地元の鳥取から大阪梅田に向かうバスは、トイレ休憩で兵庫県のとあるサービスエリアに停まりました。トイレ休憩なので時間は10分。その間にバスに戻らないといけません。 トイレに行って用を済まし、手を洗っていたところ、「すみません!スマホ持ってませんか?」と声をあげていた男性。続けて、「個室で男性が血を吐いて倒れました!救急車!」と。その場にはおそらく4名程度。一番遠くにいた私はスマホを持っていたので、「スマホあります!」と伝えました。 救急車を呼ぶ時、皆さん何番にかけますか?もちろん119番ですよね。でも私はなぜか「110だったか、119だったか、どっちだったか」と分からなくなり、たぶん119だろうという半分賭けで電話してしまいました。「火事ですか?救急ですか?」と相手が電話口で言ってくれたときに、あぁ合ってたと安心してしまいました。

119番の電話を繋ぎながら、「どこにいますか?」「男性の様子はどうですか?」など色々質問され(すみません、はっきりと質問内容は覚えていません、もっと細かい質問だったと思います)、一つ一つ答えました。時間にして5分ほどでしょうか、状況共有のやり取りが続きました。そして最後に「周りに他の人はいますか?もしいたら救急車が向かっていますので連携して合図送ってもらえますか?」と言われたので、もともと声を上げた方や、その場に居合せていたおそらくトラックドライバーの方々三、四人に「救急車がきます、表で待っていていただけませんか?」と言うと一瞬にして移動してくれました。 個室で倒れた男性をみると、確かに大量の血が床一面に広がっていました。サラサラとした血です。そして男性は意識はありつつも、痙攣したり、呼びかけには反応が乏しく、素人ながらもこれはやばいと思いました。

男性は最初はトイレの壁によりかかっていたのが徐々に右側に傾き、最後は床に寝そべるようになりました。最初の目撃者の「血を吐いて倒れている」ように見えたのは、本当は血便でした。履かれていたスーツのパンツは、お尻あたりがぐっしょり濡れていました。意識が朦朧とされるなか、おそらくご自身でもなんとかしなければと思われたのだと思います、スマホはしっかり右手にもち、誰かの声が細々と電話の向こう側で聞こえます。私はもうスマホを取りました。そして「もしもし、このスマホの持ち主の方がサービスエリアのトイレで倒れています」のように伝えました。その相手は息子さんでした。このご高齢の男性は、息子さんに電話するところまでは出来たものの、途中で会話出来なくなってしまったのだと思います。こちら側の状況を伝えて、救急車も向かっていますのでこのまま対応しますと伝えて電話を切りました。

朦朧とする男性に、「今息子さんにも伝えました、大丈夫ですよ」と声をかけづけると、今度は「かかりつけの病院があります。◯◯病院です」とか細い声で話されました。そして電話して欲しいとのこと。スマホを勝手に操作して、◯◯病院と出てきたので電話をすると、「現在、その電話番号は使われておりません。」という例のあの女性の声。まじかよと思ったのですが、よく確認するとスマホケースにはその病院の診察カードと、マイナンバーもセットで入れてありました。勝手に思うに、何かあった時にすぐに電話できるよう、スマホケースのポケットにしまわれていたのだと思います。そのカードに書かれてある病院の番号にも電話をして状況を伝えました。 体感時間にして20分くらいでしょうか、救急車を待ち続けました。この時、もう一つ問題がありました。そうです、私は高速バスで移動中です。トイレ休憩は10分だと言われていました。でもそんな時間はもう余裕で過ぎてしまっています。

こう言う時はバスは出発するんだろうか。待ってくれてるだろうか。運転手に一言言いたいけどここを離れるわけにはいかないしな。まぁバスが出ててもなんとかなるか。そんなことも頭の中でどこか冷静に考えてしまっていました。 ようやく、救急車のサイレン音が聞こえてきました。そして救急隊員がまずは二人、駆けつけてくれました。こういう時の、あの制服を着た方々の安心感たるや、半端ないですね。これでもう大丈夫だと思いました。一人、また一人と増えていく隊員の方々。「もう大丈夫ですよーー!!」や、「おとうさん、ちょっと体動かしますねー!!」など、しっかりと張った声かけや手際の良さに、もう素人の私の役目は終わったと思い、男性のスマホ、診察券、マイナンバーを隊員の方に渡して、その場を離れることにしました。連携プレーを実現させたトラックドライバーの方々とは、お互いに会釈をしたり、「これで大丈夫ですね」と声を掛け合いながら解散しました。

その後の私は全速力でバスにダッシュです。もう何分待たせたことか。というか、バスはもういないんじゃないだろうか。そんな不安がありましたが、バスの運転手さんはバスの中ではなく、男子トイレの近くで立って待ってくださっていました。「すみません!ちょっと急病人の対応をしていて遅くなりました」と理由を話すと、お疲れ様でしたと声をかけてくれて、一緒にバスに戻るやいなや、「お待たせしました、急病人の対応をされていたということで出発が遅くなりましたが、発車いたします」とフォローまでしてくださいました。バスはもういないのではと思っていたので、無事に戻ることとができて安心しました。他にも乗客はいたので、もしかすると遅刻するなよと思われたかもしれませんが、そこは救急車のサイレンの音などをきっと聴いていたはずなので、ご容赦いただければと思います。 その後、梅田についてから地元の警察署から電話がありました。私が119をしたので、今回の一件が万が一事件かなにかである可能性はないかを確認する電話でした。

いえ、おそらく事件ではないと思いますと伝えると、「あの男性は今は病院に到着して処置を受けています。命に別状もないようですよ」と教えてくれました。それを聞けて心底ホッとしました。今まで見たことのない鮮やかな血の海を目の前にしたのでとても不安でしたが、助かられたみたいで本当に良かったです。 ここまでしっかり目に、119番をしたり、急病人に声かけをしたり、見ず知らずのご家族と電話で話したりなどはこれまでの人生でありませんでしたが、おそらくスマホを持っているのが私しかいなかったという時点から何かスイッチが入ったんだと思います。そして周りにいた方々も動かれていたし、きっと連携プレーも出来ていたんじゃないかと思います。なんと言えば良いでしょうか、こういう緊急事態の時に動ける人がいる地域社会であり続けて欲しいですし、そういう社会で自分は生活したいという気持ちになりました。そして上手いまとめかどうか分かりませんが、やっぱり日本は良い国です。すごい国です。

見ず知らずの人を助けようと動く人がいて、119番というシステム、すぐに来る救急車、そこに人命救助のプロが乗ってきて応急処置をする、病院には救急外来があって、ドクターが命を救う。そして警察も後フォローで電話をしてくる。良い国だよ日本は。この国に生まれて良かったとつくづく思う。