2つの学校が統合されてできる鳥取県倉吉市の新しい小学校名の問題。もめにもめた末に決まった名前は、今の学校名の1つでした。今の校名は残さないという前提だったはずですが、まさかの決定に、驚きや腹立たしいといった声も上がっています。
18日の倉吉市民の会話は、この話題で持ちきりでした。

倉吉市民
「きのうのニュース聞いてビックリした」
「なんか二転三転しましたよね」
「どうしてこうなっちゃったんだろうみたいな」
倉吉市の成徳小と灘手小を統合してできる小学校の名前をめぐる問題。2022年9月、市議会で条例が可決され、新校名は「至誠小」に決まったはずでした。

しかし市議会の前の段階の統合準備委員会で、市民からの応募が150件あった「打吹」を抑え、応募1件の「至誠」が選ばれたことなどを住民団体が疑問視。
4800に及ぶ署名を添えて条例廃止を直接請求し、倉吉市議会も2022年12月に条例廃止を可決したため、学校名は白紙に戻りました。
仕切り直しで開かれた統合準備委員会では、折り合いがつかなかった「至誠」と「打吹」を両方取り込む形で、「打吹至誠小学校」が新たな候補に選ばれましたが…
17日の市議会では議員7人が、新たな紛争になりかねないなどとして全く別の「成徳」とする修正動議を提出。

採決の結果、「成徳」の条例案は15人中8人の賛成多数で可決され、新しい学校は、突如登場した「成徳小学校」になることが決まったのです。
この結論には、市長も驚きを隠せません。

倉吉市 広田一恭 市長
「もともと成徳・灘手・明倫3つの校名は使わないで、新しい学校として校名を決めていこうという合意がなされていたと思っていた。統合準備委員会の中ではそういう皆さんの合意の中で協議をしてこられたという経緯があるところから、ビックリしている」
統合した新しい小学校は、現在の成徳小の校舎を使うことを考慮したとも言いますが、結局「灘手小」だけ消える形となってしまったこともあり、市民の感情は複雑なようです。

灘手地区の住民
「おかしい。最後の最後になってこういう形で決まるというのは、どうも腹立たしさというかそんな感じがしている」
「何のための公募だったのかな?こういう形になってしまうと市議会や倉吉市というものに失望する」
倉吉市民
「議論をするということだけでも時間やお金ももちろんかかっていると思うので、そういったところは無駄になってしまったのかなと思う」
「至誠小」に反対していた住民団体は、今回の決定をどう捉えているのでしょうか。

新校名の再考を求める住民直接請求の会 深田哲士 共同代表
「決定については理解をする。混乱をおさめるためには、一回この議論を白紙に戻す必要があると思っている。灘手の方に辛抱してもらうという面はあると思うが、今後合併する明倫小のことも考えながらやっていくという方向に、灘手の方も理解していただきたい」
「灘手」側との間に禍根を残すのでは、そんな懸念もあるなか、「成徳」案を提出した議員は…

「成徳」修正動議を提出 藤井隆弘 議員
「小規模学校の子どもたちを、新たに通う学校にということであれば、これは成徳ということで他の事例でも出ているわけで、今回もそのようにしても良いのではないかということで成徳小学校。今ある学校の現状維持ということで提案した」
また統合準備委員会の山口明茂委員長は、「私たちは責務を果たすためにここまでやってきた。政治問題になったことが残念だ」と話していて、校歌や校章などについては、既存の成徳小のものではなく、新しいものに変える方針だとしています。
長引いた小学校名問題。市民にモヤモヤを残しながらも、これで落ち着くことになるのでしょうか。