甲子園を目指し戦った高校球児。しかし、新型コロナの影響で、戦わずして引退となったチームがありました。
そんな選手らに粋な計らいです。
8月3日、島根県出雲市の浜山公園野球場には、出雲商業高校と邇摩高校の選手たちの姿が。
7月13日、夏の高校野球島根大会開会式。
新型コロナの影響で7校が参加を見合わせました。
その中でも出雲商業は、野球部関係者に感染が広がったため、大会への出場を辞退することになりました。
出雲商業 古川蒼太前主将
「まさか自分たちが出場辞退という形になるとは思ってもなかったので、最初は本当に何も考えられないような状況で頭が真っ白になりました」
戦わずして閉ざされた甲子園出場への道。
目標を失った選手たちでしたが、対戦予定だった邇摩が、島根県高野連に対戦を申し出たため、記念試合が決まりました。
出雲商業 古川蒼太前主将
「一番はしっかり全員で全力でプレーして、感謝の気持ちとかをグラウンドで最後しっかり表して、最終的には試合に勝てたらいいなと思います」
邇摩 神在健心前主将
「ふたチームの選手が全員盛り上がって、この試合してよかったなという試合にしたいです」
出雲地区の硬式野球部員が補助員として協力し始まった記念試合。
「試合を通じて感謝の気持ちを伝えたい」と話していた出雲商業・古川蒼太さん。
そして、飯塚喬汰さんは、6月の練習中に足を痛め、この日は1塁コーチャーを務めました。
出雲商業 飯塚喬汰選手
「高校生活最後の試合なので、ひとりひとりがいい結果を残してほしいなという気持ちで立っていました」
一方、邇摩の神在健心さん。
5打数5安打のかため打ちで意地を見せました。
コールドのない記念試合。
試合は8回を終わって20対0と出雲商業がリードを奪いますが、両チームは最後まで全力で戦い抜くことを誓っていました。
邇摩は9回。
5本のヒットなどで3点を返します。
お互いこれまでの3年間をぶつけた記念試合。結果は、20対3で出雲商業が勝利しました。
邇摩 神在健心前主将
「望んだ結果ではなかったですけど、本当に楽しく最後の試合ができたなと思います」
出雲商業 古川蒼太前主将
「1回、先が見えない時期があったんですけど、きょうこうして最後の試合をさせてもらって、チーム全員でいい試合ができたので、いい思い出になったと思います」