「誰にも言うな」が、人を孤立させる

犯人グループが繰り返し口にしていた言葉があった。
「これは極秘の捜査です。絶対に誰にも言わないでください」

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家族にも、友人にも、誰にも話してはいけない。
誰かに会った時も、その内容を伝えてはいけない。

そう何度も念を押された。

女性は、その言葉を疑わなかった。
「警察の捜査って、そういうものなのかなと思ってしまって」

さらに求められたのが、“定時報告”だった。

今どこにいるのか。
誰と会っているのか。
これから何をするのか。

朝、昼、夕方と、3時間ごとにLINEで報告するよう指示された。

「長男が2階にいます」
「これからお茶を飲みます」

そんな何気ない日常まで、細かく伝えていた。

当時の状況を話す70代女性

「逃亡されると困るから、と言われて。特別な予定があるわけでもなかったので、真面目にやらなきゃと思っていました」

今振り返れば、完全に行動を管理されていた。
それでも当時は、自分が支配されているとは思わなかった。

むしろ
「潔白を証明するために必要なこと」
だと信じきっていた。

そして何より、誰にも相談できなかった。

「やっぱり、そういう時こそ誰かに言わなきゃダメだったんだと思います」

特殊詐欺が怖いのは、お金を奪うことだけではない。

人をひとりにして、
正常な判断を奪っていくこと
だった。