ポジションをさまよった5年半の葛藤

大阪出身の彼女がアルビレディースに加入したのは2020年。初めて練習生として新潟のレベルを体感したとき、「やっぱりすげえな」と圧倒され、正直「このチームに入りたい」とすら思えなかったと語ります。

加入後の5年半はサイドハーフ、フォワード、そして本職のディフェンダーと、ポジションを転々と。「あまりない経験」と振り返る一方で、その裏側には激しい葛藤もありました。特に近年、橋川監督から与えられた役割は、試合終盤の“クローザー”。勝利を締めくくる重要な役目でした。

「クローザーとして使ってくれることは自信になりました」

しかし、その役割は同時に、プロとしての「天井」が見え始めたことの証でもありました。

「プロで生きていく中で、スタメンを勝ち取って試合に出場することが一番評価される。トータルで見たときに、活躍できたかって言われたら正直そうじゃない」

プロ選手としての限界を感じたことが、27歳という若さでの引退を決断する大きな理由となったのです。