クマの出没数の増減には、前年秋のブナの実り具合が関係しているとされます。
専門家によると、平年並みや豊作であればクマの栄養状態が良くなって出産が増え、冬眠明けの母グマが子グマのえさを求めて行動範囲を広げる恐れがあるとしています。

むしろ凶作だった場合、えさを求めて活動が活発になるのでは…、というのは素人考えのようです。こうしたクマに対する誤った先入観が、万が一、クマに出会ってしまった際、命取りなることもあります。

例えば、体重の重いクマは木に登れるのでしょうか。5月29日午後1時頃、青森県七戸町を走行していた車のドライブレコーダーに、その真相が映っていました。
前方を走る白い乗用車の右側にうごめく影。近づいていくと、体長1mほどの子グマのようです。
すると突然、車の窓の高さほどあるガードレールにひとっ飛び。

そこを踏み台にし、街路樹に手をかけると、ものの一瞬で手と足で登りはじめました。さらに、クルリと回転、目視で5mほどの高さまで達しました。


クマを確認してからここまで、たったの4秒。クマの生態をまとめた環境省の資料には、人より速く、時速40km以上で走ることが可能。木登り、穴ほりのために強い力と鋭いツメを持っていて、水泳も得意とし、並外れた運動能力をもっているとしています。

このため青森県は、もしクマと出会ったら、後ずさりしながら静かに立ち去ることとし、逃げるものを追う習性があるため、走ったり木に登ったりしないよう注意を呼びかけています。

青森県は2022年、秋のブナの実が平年並みだったため、4月7日に「ツキノワグマ出没注意報」を発表し、11月末まで継続する方針です。