「戦いを通して学ぶことが民主主義」。
 当時の安倍総理にヤジを飛ばした市民が、警察に排除される問題を追ったHBC製作の映画「ヤジと民主主義劇場拡大版」。
 世界的な映画監督・是枝裕和さんが、映画に寄せたメッセージです。

 東京で開かれているドキュメンタリー映像の祭典「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」。
 オープニング上映されたのが、HBC製作の映画「ヤジと民主主義劇場拡大版」です。

 是枝裕和さん
「やっぱあの2人が、大杉さんと桃井さんが、この戦いを通して、いろんなことを学んでいきますよね。それが民主主義と言ってもいいかもしれませんけれども」

 上映後、この映画の監督でHBC報道部の山﨑裕侍デスクとのトークイベントでそう語った、映画監督の是枝裕和さん。
 映画には、視野が広がっていく感覚があると話します。

是枝裕和さん
「あの2人に寄り添いながら、あの2人だけではなくて、その周辺に自分の意識というか視野が広がっていく感覚っていうのが、僕も思ったんですね。最初にそれが僕がこの作品の一番好きなところなんですけども」

 山﨑裕侍デスク
「大杉さんと桃井さん、やっぱりテレビのニュースだと、ちょっと変わった人とか、特殊な人っていうふうな見られがちなんですけども、そうでない2人のことをきちんと描こうとは思ったんですが、影響されて声を上げたりとかっていう方々の存在というのが、何かこう、共鳴してくというか、声が広がっていくような感じを取材して、正しくリアルでこう感じたもんですから、そこは後半やっぱり僕らが目撃したものを丁寧に伝えようとは思いました」

 映画のなかで印象に残ったのが、排除される桃井さんの傍らにいて、助けられなかったことを後悔する女性のエピソードだったといいます。

 是枝裕和さん
「自分があの場で、声を上げられなかったことを反省して、番組に出て、ある覚悟を持って出てくれているっていうことが、この作品にとってもすごく大きいですし。決して怒りに任せて、何かを批判するだけで終わらずにですね。獲得できるものがあるのだっていうことにしっかり、フォーカスをしているというのが、とても素敵だなと」

 映画「ヤジと民主主義」は、全国で順次上映されます。