警視庁に身柄を確保された桐島聡容疑者(70)とみられる男が、けさ、入院先の病院で死亡しました。男は「音楽好きの良いおじさん」として、周囲に溶け込み、生活を送っていたことがわかってきました。
男の口から、事件について語られることは無くなりました。
けさ、午前7時33分。神奈川県鎌倉市の病院で、指名手配されていた桐島聡容疑者(70)とみられる男の死亡が確認されました。病死でした。
桐島容疑者(70)とみられる男
「自分は桐島聡です。最期は本名で迎えたかった」
末期がんを患っていた男は、今月25日、病院関係者にこう打ち明け、「重要指名手配犯」の捜査が大きく進展しました。
桐島容疑者が手配された容疑は、1975年に東京・銀座の「韓国産業経済研究所」で起きた手製の時限爆弾による爆破事件。男は捜査関係者に、本人しか知り得ない情報を話したといいます。
警視庁は男のDNA型の鑑定を進めていますが、取材を進めると、およそ50年に及ぶ潜伏生活の実態がわかってきました。
桐島容疑者とみられる男の知人
「『うっちー』という名でみんなと親しくしていた。音楽好きの良いおじさん。特にジェームス・ブラウンとか、乗りの良い音楽が好きだった」
「連続企業爆破事件」で警視庁に指名手配されていた、過激派「東アジア反日武装戦線」のメンバー・桐島聡容疑者。
「内田洋」の名前で数十年間にわたり、藤沢市内の工務店で住み込みで働きながら潜伏していたとみられていて、近所では酒を酌み交わし、親しい仲になった人もいました。
「内田洋」名乗る男の知人
「『うっちー』という名でみんな親しくしていた。イベントとかライブがあったりすると、盛り上げたりとか、音楽がすごく好きな人。静かに飲んで、時々音楽に合わせて軽く踊ったりとか」
「うっちー」と呼ばれ、親しまれていた男は、自宅に知人を招くこともあったといいます。
「内田洋」名乗る男の知人
「音楽ビデオが(自宅に)たくさんあるので、整理するものもあってあげるよと、もらいに行った。(ビデオは)ロック系のものが多かった気がする」
潜伏生活のさなか、大胆にも周囲と交流していたとみられる男。しかし今月中旬、転機が訪れます。
男を助けた近所の人
「通りかかった時に倒れて『うー』という感じ」
自宅のすぐそばで倒れた男は自力で立ち上がることができず、自動販売機の前に座り込んでいたといいます。男は男性2人に対し、声にならない声で自宅の場所を伝え、脇を抱えられながら自宅へ…。
玄関には南京錠がかけられていて、男性が扉を開けると…6畳ほどの部屋にはストーブが2個置かれ、段ボール箱などが散乱して足の踏み場も無かったといいます。男はこの直後、自宅から入院先の病院に運ばれたとみられています。
男を助けた近所の人
「この顔(手配写真)を見ると『あっ!』となる。確かに言われたら、相当痩せたなという感じ。(手配写真の)3分の2くらいまで痩せている」
一方、桐島容疑者とみられる男が死亡したことを受け、連続企業爆破事件の被害者の家族は複雑な気持ちを抱いています。
夫が連続企業爆破事件で負傷した女性
「罪の意識が出てきて本音を語ったのか、自己満足か分からないけど。もうちょっと長く生きて自分の言葉で事実を話してもらい、罪を償ってもらえたらよかった」
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