ミャンマーで軍が実権を握ったクーデターからまもなく3年。JNNは、弾圧に苦しみながらも必死の抵抗を続けるミャンマーメディアの今を取材しました。
ミャンマーと国境を接する、タイ西部。私たちが訪ねたのは、ミャンマーから逃れてきた独立系メディア「ミジマ」の拠点です。
ミジマの記者 ナウンさん
「これが私です」
記者のナウンさんは3年前、ミャンマーで行われた軍への抗議活動の取材中、治安部隊に一時、拘束されました。
ミジマの記者 ナウンさん
「軍はデモの参加者を射殺し、その不法行為を伝えようとするジャーナリストを次々と逮捕しました。クーデターによってミャンマーの“報道の自由”は完全に失われてしまったのです」
2021年2月1日のクーデター以降、ミャンマーでは日本人を含む、少なくとも163人のジャーナリストらが逮捕され、4人が死亡しました。ミジマなど10社以上の報道機関が免許をはく奪され、現在は軍の影響下にある一部の国営メディアだけが活動を許されています。
多くの独立系メディアがタイ側へと拠点を移し、ミジマもタイに逃れて、集合住宅の部屋に自前でスタジオを設置。衛星放送で、ミャンマー国内への情報発信を続けています。記者たちは、各地に身を潜めながら情報を集めていますが、中には戦闘の最前線で取材する人も。軍は民主派勢力などとの戦闘激化で、空爆を繰り返すようになり、記者はこうした無差別攻撃の実態を命がけで伝えています。
最前線で取材するミジマの記者
「ミサイルや砲弾・爆弾などが私のすぐそばに落ちたこともありますし、とても危険です。でも、私たちが伝えなければ、誰が真実を教えてくれるのでしょうか」
そんなミジマには最近、新たな仲間が加わりました。クーデターで住まいを奪われるなどした様々な境遇の人たちが、ジャーナリストを志したのです。
ミジマに加わった記者
「私は(クーデターで)大学に行けなくなりました。武器で戦えない私にとって記者の仕事は、興味深く、ふさわしいと思いました」
ただ、ミャンマー軍は、タイで活動する記者たちを逮捕するようタイ当局に要請するなど、妨害行為をエスカレートさせているといいます。
ミジマの記者 ナウンさん
「逮捕される不安が常に頭から離れず、毎晩よく眠れません。様々な困難に直面していますが、それでも、私たちはペンで軍に立ち向かい、革命を起こしたい」
ミャンマーの情勢は依然として厳しい状況ですが、記者たちは軍による弾圧を許すまいと闘い続けています。
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