津山特産の「つやま和牛」が、きょう(17日)、海外へ向け初出荷されました。飼料代の高騰、国内での需要低下で苦境に立たされている地元の畜産業界の新たな挑戦です。

(JA晴れの国岡山津山統括本部 西川潤統括本部長)「これが今後の畜産農家の皆さんの販路拡大であったり、経営の安定につながるものとして大変期待をしております」

つやま和牛2頭が香港へ輸出されることを記念した出荷式です。地元の畜産農家をはじめ関係者らが岡山県内初となる和牛の海外初出荷に期待を込めました。

(藤の木和牛肥育組合 森岡知之理事長)「感無量ですね。長年輸出が夢だったものですから」

つやま和牛は生まれも育ちも津山地域にこだわり、津山産小麦の「フスマ(表皮)」など栄養価の高いエサを与えて飼育した黒毛和牛です。

さっぱりとして甘い脂の旨味が特徴で、高い品質が評価されていて、津山市内の飲食店を中心に取り扱い店舗が拡大しています。

ただ一方で、ロシアのウクライナ侵攻による飼料価格の高騰や、コロナ以降、国内の和牛自体の消費が低下したことにより、生産者は苦境に立たされてきました。

(藤の木和牛肥育組合 森岡知之理事長)「生まれたら赤字。出荷は一頭30万円赤字。本当に究極の限界にきているので、そこをなんとか打開したい」

そんな中、和牛の需要が高い香港への輸出は、国内での販売よりも高い利益が見込めるだけでなく、海外へのPR効果、さらに地元での需要拡大も後押しする起爆剤になるのではと関係者は大きな期待を寄せています。

(JA晴れの国岡山津山統括本部 西川潤統括本部長)「実際にこちらにいらっしゃる観光客、インバウンドの方々そういったところで地元の発展にも寄与するものと思っております」

きょう(17日)出荷されたつやま和牛は、およそ1か月後に香港の飲食店に納品される予定で、今後は奈義町の「なぎビーフ」や新見市の「千屋牛」など、岡山産ブランド牛の輸出も検討しているということです。