■全日本フィギュアスケート選手権(23日、長野市・ビッグハット)
2連覇を達成した宇野昌磨(26・トヨタ自動車)は、いち早く3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)代表の座を手にし「次の世界選手権はジャンプを頑張りたい」と話すなど次戦に向けて意気込んだ。
この日のフリーは最終グループの選手が次々と渾身の滑りをみせ、ミスがあれば優勝を逃してしまう緊張感のある中で演技。冒頭の4回転ループでは着氷が乱れたほか、4回転トウループでは回転不足を取られたが、大きなミスなく最後まで滑り、他選手の猛追を振り切った。
フリーを終えた宇野は「これだけ素晴らしい大会になった中で自分が優勝できたことに嬉しく思いますし、なんとか乗り切ったっていう思いもあります」と連覇達成に安堵の表情をみせた。
「ジャンプの状態があまり良くなかったのでジャンプに照準がいってしまった。ステファン(コーチ)が喜んでくれたし、みんなほど最高な演技じゃなかったかもしれないけど、試合での自分は最高のものが出せた」とフリーを振り返った。
だが「このままではマリニンに遠く及ばないと思う」と、GPファイナルを制したアメリカのイリア・マリニン(19)について触れると、「この3ヶ月自分の持てる力を全て出し切ればギリギリ戦えると思う。自分が現役を続けると決めた以上、重要視してきた表現よりも得点が出なければジャンプを頑張るべきだと思っている。次の世界選手権はジャンプを頑張りたい」と3連覇がかかる世界選手権を見据えた。
そのジャンプについては「NHK杯のジャンプが1番良かったと思っていて、NHK杯の動画を見て、今回もこう跳べるにはどうすればいいか考えてた。それくらい自分の今の状態が良くない。この2・3ヶ月はしっかり調整していきたい」と現状には満足していないと話し、「自然とジャンプの練習は増えた。倍以上に。なかなかうまくいかなくてストレスも多かったですが、やっていけば良くできる方向性はわかっている。今回は時間が空くのでいい調整ができると思う」と次戦に向けて闘志を燃やした。
SP3位の鍵山優真(20・オリエンタルバイオ/中京大)は、演技後ガッツポーズをみせるなど、フリートップの会心の演技で2位。今季はケガからの復帰となったが、完全復活にまた一歩近づいた。全日本を終えた鍵山は「まだ整理ができてない。一言で言うなら嬉しいけど悔しくて、悔しいけど嬉しい」と素直な気持ちを吐露。「僕が予想してるよりもハイレベルですごい試合になったと思う」と振り返り、「来年はパーフェクトな演技を目指して金メダルを取る。4回転を絶対増やすつもり」とさらなる飛躍を誓った。
SP2位の山本草太(23、中京大学)もノーミスの演技で全日本初の表彰台となる3位。フリーではクリーンなジャンプを次々と決め、得点は宇野と僅差の192.42点をマーク。「10回目(の出場)でメダルが取れて嬉しい。今シーズンは全日本の表彰台を目標に頑張ってきた。前半の4つのジャンプが鍵になると思ってたので、(ジャンプ降りて)ガッツポーズが出てしまった。頑張ってきて良かった」と納得のいく大会となったようだ。
※写真は左から鍵山選手、宇野選手、山本選手