1年間で40を超える祭事があり、それを守る独特の仕組みが存在する与那国町。女性が踊り続ける儀式や寝たふりをする祭りなど、独特の祭りが多いのも特徴です。こうした与那国の祭りの中でも、激しく勢いのある厄払いの祭りを取材しました。

獅子舞が集まる大迫力のシッティ

各集落の獅子が舞い、島中の厄を払う祭りシッティ。まだ夜も開けない暗いなか、すでに祭りの準備は始まっていました

島の大事な祭りを守る館長の崎原さんや、ダグサと呼ばれる役員たちが集まり、祭りの主役、獅子を丁寧に清めます

西公民館 崎原正吉館長(76)
「シティ祭というのは、季節の変わり目だもんですから、今インフルエンザとか色んな病気が発生するもんですから、それをなくすために」

島の厄を払い、新年を健康に過ごせるよう行うのがシッティ。獅子を清め、準備が整えば…

西公民館 崎原正吉館長(76)
「これは魔除けです」

家や車に「ンバ」と呼ばれる、かずらを括り付けます。

与那国で1年間に行われる祭事は40以上。神が宿った女性が踊り続ける儀式に、稲につく害虫を架空の島、アンドゥの島へ送るためひたすら寝たふりをする祭り、与那国の祭事はどれも独特。

1985年に国の無形民族文化財にも登録され、島にとっては宝のようなものですが、中には後継者がおらず途絶えてしまったものも。
シッティもまた、継承の危機に直面しています。崎原さんはことしのシッティにある思いを込めていました。

西公民館 崎原正吉館長(76)
「これはもう、島の祭事行事ですので、今までそのために願い事が叶ってこういう不幸とかがないと思っていますので、そこを今の若い人たちも見習って、継承していってほしいと思っています」

いよいよ、シッティが始まります!

まるで地を這う獣のような、この低い姿勢で舞うのが与那国流。

トップバッターに選ばれたのは…

中学2年生の男の子
「いやー全然やばいですもう。足パンパンで。全然分からない」
棒座の男性(20代)
「中学生で経験しとけみたいな感じですね。僕も中学生のときにそういう風に入らせてもらってたので」

島で一番大きな交差点に、3地区の獅子が集まってきました。「合祭」の始まりです。

ここでは父獅子の東、母獅子の西、そして子どもの獅子の嶋仲地区が一同に会し、互いの地域の健康や平穏を祈って力強く舞います。

仕事で与那国に来た男性
「獅子が色んな方向から来て、なんの合流なのかなって分からなくても楽しかったです」

オーストラリアからの観光客
「Beautiful!」
「Reallyunique!I''veneverheardanythinglikeitbefore.」

地元の女性
「地元だから久しぶりにみるの。何年かぶりに見るの」

コロナ禍の間は開催できなかったシッティ。今年はこうして島民も観光客も一堂に会する喜びに溢れています。

ここから各地区の集落を回る旅が始まります!