日米の鉄鋼業界で大型再編です。国内鉄鋼最大手の日本製鉄はアメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」を買収することで合意したと発表しました。買収額はおよそ2兆円に上ります。

日本製鉄によりますと、買収することで合意したのは、1901年創業でアメリカを代表する老舗企業の鉄鋼メーカー「USスチール」です。買収額は141億ドル=日本円でおよそ2兆円にのぼる見通しです。

日本製鉄は買収の意義について「アメリカは先進国で最大の鉄鋼需要があり、自社の技術力や商品力を活かした高級鋼材の需要が期待できる市場」と説明しています。

記者
「私の後ろに見えるのが高炉です。24時間365日稼働しています」

鉄鋼業界をめぐっては、製造過程で多くの二酸化炭素を排出するため脱炭素に向けた対応が迫られていて、両社は「脱炭素化の革新技術の開発で協業していく」としています。

一方、USW=全米鉄鋼労働組合は今回の買収を非難する声明を発表しました。

声明では、「USスチールはアメリカの象徴的な企業を外国企業に売却することを選んだ」と指摘し、「強欲で目先の利益に捉われている」と非難。

また、「組合に買収を報告すべきところ、両社から連絡はなかった」として、日本製鉄が組合との協約をすべて理解していると思えないと疑問を呈しています。

さらに、規制当局に対して、▼国家の安全保障上の利益にかなうか、▼また、労働者に利益をもたらすのか厳正に審査するよう要請しました。