1000年以上とされる歴史に幕です。岩手県奥州市の黒石寺(こくせきじ)で行われてきた「蘇民祭(そみんさい)」が、担い手不足などを理由に来年2月の開催を最後とし、再来年以降は行わないことが5日発表されました。

(黒石寺 藤波大吾 住職)
「いままで信仰をつないでいくというのは蘇民祭というお祭りの形をとってきました。ただお寺としても目的は薬師信仰をつないでいく、地域の皆さんとそれを守っていくということ」

5日、黒石寺の藤波大吾住職が会見し、「蘇民祭」の終了を発表しました。
理由については、祭の参加者の減少や、祭を維持していくための担い手不足を挙げています。
黒石寺の蘇民祭は1000年以上の歴史があるとされ、下帯姿の男たちが炎で身を清める紫橙木登(ひたきのぼり)や、五穀豊穣にご利益があるとされる蘇民袋を夜通し奪い合って取主を決める蘇民袋争奪戦が行われます。
2008年には、蘇民祭のポスターの掲示をJR東日本が「不快感を与える」として拒否したことが全国的に話題になりました。
コロナ禍では蘇民袋の争奪戦などを行わない規模を縮小した形で祭が行われてきましたが、最後の開催となる来年は制限を大幅に緩和し、蘇民袋争奪戦は開始時間を早めて境内のみで実施する方針が示されています。

地域を代表する奇祭の終了に市民は―

「あっそうなんですか?厄年とかね42歳とかの人とかも出ていましたんでね。いやー、残念って言えば残念ですかね」
「えっそうなんですか。知らなかったです」
「まちを代表する祭りの一つだと思っていましたので、けっこう全国的にも有名なところがありましたから、もったいないなと思いますね。今突然聞きましたので、初めて聞きましたので、びっくりしました」

黒石寺は、旧正月の護摩祈祷などは今後も継続していくとしています。最後の黒石寺蘇民祭は、来年2月17日土曜日に行われます。