来年度の改定に向けて議論が進む「介護報酬」の見直し。こうした中、一部の自治体から山間の訪問看護や介護は「採算を取るのが難しい」として、制度の見直しを求める声が上がっています。
千葉県館山市。車を運転しているのは看護師の大里京子さんです。
訪問看護ステーションたてやま 大里京子 所長
「かなり山の中に入り込む」
ガードレールもない荒れた山道を進みます。片道12キロ。ようやく辿り着いたのは、92歳の男性の自宅です。
大里所長
「頭痛いとかめまいとかないですか」
男性
「それはありません」
大里さんは、この山間の地域で訪問看護を行っています。
利用者の男性
「道の悪いところ、あがっていただいてありがたい」
看護を終えると、次の訪問先へ。再び山道の移動です。
訪問看護ステーションたてやま 大里京子 所長
「滑って崖が崩れたりしたときがあるので、よほど雪とか土砂降りのときは訪問を見合わせる」
この日の移動距離は…
訪問看護ステーションたてやま 大里京子 所長
「(移動距離は)25キロくらい。50~60(キロ)というときもある」
大里さんは今、介護報酬の見直しを訴えています。
訪問看護ステーションたてやま 大里京子 所長
「1件1件の訪問を回らないと報酬に繋がらない。ガソリン代もかなり上がってきているので、そこがネックに」
現在の保険の仕組みでは、訪問看護や介護の報酬は地域ごと一律に定められていて、移動の時間と費用がかさむ山間地に特有の事情が原則として考慮されていないのです。
訪問看護ステーションたてやま 大里京子 所長
「地域加算みたいなものはあるが、そういうエリアに入るわけではない。道中というところで多少の加味をしてもらえると」
去年、全国8つの自治体がこのままでは山間における訪問サービスの「継続性が危ぶまれる」として、国に制度の見直しを求めた申し入れを行いました。そのうちの一つ熊本県山都町の担当者は…
熊本・山都町の担当者
「事業所から距離が遠いところは『うちでは受けません』というところもあった。介護をしている人のモチベーションに繋がるような評価をしてもらえると」
こうした声を受け、厚労省は現在、移動距離などの実情を踏まえた報酬の加算が出来ないか検討を進めています。
訪問看護ステーションたてやま 大里京子 所長
「車がないと伺えない家が多いので、これ(移動など)が理由でサービスを受けられないということはいけない」
地域の声に応える制度の見直しは果たして実現するのでしょうか?
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