介護の技術で日本一を目指す高校生。
丁寧に心を込めて、かつ、スピーディーに。業界の将来を担う2人を追いました。
その人に合った介護とは何か

高齢者のケアをイメージした実習に励む2人。城北高校の西本樹花(にしもと じゅはな)さんと中尾桃歌(なかお ももか)さんです。
医療福祉科というコースで介護について学んでいます。
この2人は高校生の介護技術コンテストの九州チャンピオン。

10月29日の全国大会に九州代表として出場します。
今、2人は全国大会に向けて練習の日々。
体の向きや腕の位置など、どうすれば対象者に負担をかけずにケアできるかを検討していました。

授業の一環としてのコンテストですが、2人は放課後や休日も技術の向上のため練習を重ねています。
この日々を通して「介護」という仕事のイメージが大きく変わってきたと言います。

城北高校3年 西本樹花さん「自分も大変なイメージがすごくあったんですけど、人との関わりや介護の温かさを感じるようになって、すごい魅力的な職業だなと感じるようになりました」

2人が出場する全国大会は「左半身に麻痺がある女性への介護」という設定の実技などで争われます。与えられた時間は7分です。
城北高校3年 中尾桃歌さん「することがいっぱいなので、時間内におさめようとすると手際よくパッパとしないといけないし、余裕がなくなってしまう」

しかし、時間ばかりを意識して練習すると…20秒ほど時間を余らせて終了。
先生から「なぜこんなに早く終わった?」と声掛けが。そして、ケアの丁寧さが足りないと指摘されました。

さらに、本番の25分前にならないと審査対象となるケアの内容が発表されないため、幅広い知識と応用力が求められます。

中尾さん「紙一枚に書かれた情報の中から『その人に合った介護技術はどんなものか、コミュニケーションはどんなのがいいか』というのを考えて、それを織り込んで実技をするのが難しい」
では、介護のプロはどうしているのか。
クッションの入れ方一つでもその人に合ったものに
この日、二人は現場で活躍している介護福祉士のもとへ。利用者との接し方や楽に感じてもらえる姿勢の整え方などを教わりました。

介護老人施設 ぼたん園 屋田貴史さん「急に動かすと体が緊張するので、動かすときには『腕を前に出しますね』と一言つたえるとか」

西本さん「クッションの入れ方一つでもその人に合っていないと、よりよい介護にはつながらないのでもっと追及していこうと改めて感じた」
日々、経験を積む2人の姿を見て指導する先生は…。

城北高校 梅本洋子先生「(2人の姿を見て)こんなにやりがいがあるんだということを知ってもらいたい。まだ熊本に優勝旗を持ってきたことがないので、ぜひ今回!」
また、県介護福祉士会の会長は、2人の活躍が業界の明るい未来につながると期待を寄せます。

熊本県介護福祉会 岩本淳也会長「熊本の介護の質の底上げにもつながる。ケアをする側も受ける側も、双方がハッピーになる・笑顔になるようなケアを堂々とのびのびとやってほしい」
業界の期待を受ける2人、勝負の時が近づいています。
西本さん「今年こそは最優秀賞を取れるように」
中尾さん「介護の魅力を全国に広げられるように、目標は1位です!」
