北朝鮮による日本人拉致事件をめぐり、1980年に大阪の原敕晁さんを拉致したとして国際手配されている元工作員の男について、死亡したとの情報が韓国側から日本側に寄せられていたことが分かりました。

大阪市の中華料理店で働いていた原敕晁さん(当時43)は、43年前の1980年6月に宮崎県の海岸から拉致されたとして政府に認定されています。

この拉致事件をめぐり、日本の警察当局は北朝鮮の元工作員らの逮捕状を取り、国際手配していました。

警察当局への取材によりますと、このうち韓国籍の金吉旭容疑者について、1年ほど前、韓国側から日本側に対し、数年前に韓国で死亡したという情報が寄せられたということです。

警察当局は、韓国側に死亡を裏付ける書類の提供などを求めていて、確認が取れ次第、容疑者死亡で書類送検する方針です。

一方、こうしたことを受け、拉致被害者家族会の横田拓也さんは「加害者側が自由な世界で生きながらえていた一方、被害者は自由がない世界で苦しい時間を強いられていることに矛盾を感じるし、憤りを覚える。同時に日韓の連携により人権問題解決するというお互いの価値観を共通した土台でこうした情報が共有されていることはとても意味がある。日米韓で拉致問題を早期に解決してほしい」とのコメントを発表しました。