10~12月は交通事故が増加する時期です。日没が早まるなど気象条件もありますが、事故が起きやすいのは「交差点」。特に人身事故の多い“危険な交差点”を取材すると、事故原因が見えてきました。

2023年8月、富山市の交差点で発生した交通事故。田んぼの中には、前方が大破した乗用車とオートバイ。オートバイに乗っていた人のものでしょうか…道路には2つのヘルメットが転がっています。乗用車とオートバイが出会い頭に衝突し、オートバイを運転していた17歳の男子高校生が足の骨を折る重傷を負いました。

2022年に富山県内で発生した交通事故1953件のうち、半数を超える1031件が交差点で発生しているのです。

9月、日本損害保険協会は人身事故が多い交差点を発表。富山県内でリストアップされたワースト6か所の「危ない交差点」、その現場を訪ねました。

同率4位は2022年に4件の交通事故が起きた、3つの交差点です。

〈同率4位:新屋交差点〉
富山市の新屋交差点。片側3車線の国道8号と片側2車線の県道が交わる交差点です。実はこの新屋交差点、過去5年間で3回もワースト6か所にランキング入りしている「危ない交差点」なのです。

新屋交差点は交通量が多く、朝と夕方の通勤時間帯には渋滞ができます。交差点を右折する車を見ると。信号が切り替わりましたが…まだ多くの車が交差点を渡れずにいます。また、交差点を右折する途中で、信号が赤に変わった後も…続々と車が交差点に入ってきます。

この新屋交差点では、右折する車と、対向車線を直進する車のいわゆる「右直事故」が相次いでいます。信号待ちになると、およそ1分半ほど信号が変わらないことなどから、双方のドライバーに「急ぎ」や「焦り」が生じ、事故を招くとされています。

〈同率4位:射水市松木地内交差点〉
射水市松木地内の交差点。田んぼのなかの見通しのよい交差点ですが、4件の事故すべてが「出会い頭」によるものです。

近くで働く人に聞くと…
「月に多いときで2、3回。1つやるとすべて
 田んぼの中に車が落ちるみたいなのが度々です」

一方の道路には「一時停止」の標識がありますが、一時停止をせずに衝突する事故が相次いでいます。警察に取材すると、事故を起こしたドライバーは、「止まれの標識に気づかず交差点に進入した」と話しているといいます。

近くで働く人:
「誰かが犠牲にならないと信号がつかないのかな、
 それでは遅いので早くつけてほしい」

「この時間帯に通行人はいない“だろう”」

〈同率4位:大町交差点〉
富山市の大町交差点。この交差点では走りなれた道での事故に共通して多い、「だろう運転」による事故が相次いでいます。

「この時間帯に通行人はいない“だろう”」と、運転に慣れたドライバーが周囲の状況を都合よく思い込んで運転するようになり、危機意識が薄れて注意も散漫になってしまうということです。