チャットGPTで注目されるようになった、データを学習し新たなコンテンツを作り出す「生成AI」です。そのAIを使って、香川大学がある「達筆」で知られる人物の文字を再現することに成功しました。

(古川豪太記者)
「『挑戦』、これ私が書いた文字ではなく、あの空海の文字を『AIが再現したもの』です」

今の善通寺市で生まれ、今年生誕1250年を迎えた弘法大師・空海。
書道の達人「三筆」の一人にあげられ、「弘法も筆の誤り」ということわざが生まれるほど達筆でも知られています。

この空海の文字を、「生成AI」を使って再現しようとしたのが、香川大学創造工学部のプロジェクトです。

(香川大学創造工学部 岡崎慎一郎准教授)
「AIというものは、基本的には新しいものを作り出すには不向きなんですが、元あるものをうまくとりこむことを凄く得意としています。AIがすごく得意なところと文字というのが、結びついたというか」
AIが、どうやって空海の文字を再現するのか…。まずは一般に使われるゴシック体を入力します。

さらに、ここに空海が書いた本物の字をスキャンして入力、そこからが「AIの出番」です。

(香川大学創造工学部 我部山喜弘さん)
「『学習と出力』というのをAIがやってくれるので、最終的には細かいところをどんどん積み上げた結果、生成自体を自動化してくれるので」
ゴシック体と空海の文字をAIが何度も照らし合わせて、特徴のある文字を再現していくのです。

(香川大学創造工学部 我部山喜弘さん)
「こどもが『空海みたいな文字を書こう』と思ってもできないですよね。それをAIにかませることによって、『誰でも空海みたいな字を作れますよ』というのがひとつ面白いところ」
AIが照らし合わること600回。当時はなかったカタカナなども、漢字の一部から作成し、完成したのが「人×テクノロジー次の進化への挑戦」という16文字。

現在再現できたのはこれだけですが、いずれは「空海フォント」を完成させる計画です。
(香川大学創造工学部 岡崎慎一郎准教授)
「AIの台頭によって、いろいろなアイデアが出てきて、様々な書道家のフォントも同様な手法があればいつでも再現ができると思います」

(記者)「空海もAIに再現されるとは思っていなかったのでは?」
(香川大学創造工学部 岡崎慎一郎准教授)
「思ってないと思いますが、ただ本人はたぶん喜んでるのではないかと」

「弘法筆を選ばず」ということわざもありますが、筆ならぬAIが空海の文字を書く時代。テクノロジーが次の進化を促します。
【補足】
ちなみに、書道を専門とする香川大学の教授からも『予想以上に空海の字』とお墨付きも出たということです。フォントが完成していろいろな文字が書けたらとAIの可能性が広がりますね。