今月15日(日)に迫ったパリ五輪代表選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。上位2名がパリ五輪代表に内定する。一発勝負の大一番で、シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さんが注目するのが、鈴木健吾(28、富士通)だ。

高橋尚子:
日本記録保持者の彼は自分でレースの流れを動かすことが出来るのがポイントです。そして武器は勝負強さ。ここぞという勝負所をしっかり見極めることが出来ること。そして一発で仕留められる、その勝負強さが光れば非常に彼のレースになってくるのかなと思います。

鈴木は2年前の琵琶湖マラソンで「2時間4分56秒」という日本記録を樹立。日本男子では初の4分台だった。

高橋:
レース展開とするならば、最初、下り基調の前半部分は足を温存して集団から見えないようなところでレースを展開する。ただ、30km近くになってきたときに、人数が多ければ人数を減らすために少し揺さぶりを鈴木選手が仕掛けるかもしれないです。相手を見極めたうえで35km以降の坂を使って、どこかで仕掛けてくるのではないかと思いますね。そういったレース展開が鈴木選手のもとで主導権を握るような展開になれば、一気に優勝という事を引き寄せていけるのではないかと思います。

鈴木にとって「MGC」には人生を大きく変えた思い出がある。それは妻であるマラソン選手の一山麻緒(26、資生堂)との出会いだ。男女合同で開催されるこのレースで、二人は初めて会話をしたことをきっかけに交際がスタートし、2021年12月に結婚。ちなみに、2人は同じ大会(東京マラソン2022)での夫婦の合計タイムでギネス世界記録を更新。名実ともに、『世界最速の夫婦』となった。

「やってる競技も一緒だし、苦しいこともわかるし、行き詰まりそうになった時に救われたことは何回もあります。彼女の方が練習とかもすごくやるので、そういう意味ではもっとやらないといけないなっていうのはあります」

今回も夫婦でMGCに出場する2人。目指すは来年のパリ五輪で夫婦共に走ることだ。

■鈴木 健吾(すずき・けんご)
1995年6月11日生まれ。愛媛県出身。富士通ソリューション開発本部所属。日本記録保持者。2022年 世界陸上オレゴン大会マラソン日本代表

■一山 麻緒(いちやま・まお)
1997年5月29日生まれ。鹿児島県出身。資生堂所属。東京五輪女子マラソンで17年ぶりの8位入賞