大分県内のバス会社では路線バスの運賃値上げに向けた動きが相次いでいます。背景や利用客の反応をリポートします。
路線の数や車両の保有台数が県内最大規模の大分バス。10月3日、路線バスの運賃の値上げを九州運輸局に申請しました。
認可されれば、来年3月から、初乗りは150円から180円に。大分市内の均一区間は、170円から200円と、いずれも30円アップ。全77路線の値上げ率は平均18パーセントとなります。
(糸永記者)「バス運賃の値上げ申請に利用客からは様々な声があがっています」
(利用客)「バスも乗客が少なくなって大変だと思う。少しぐらいの値上げはいいと思う今の時代」「色々値上げが続いているので、節約していかないといけない」「値上がりは嫌やけど、しょうがないというところが私の結論」「月20日ぐらいは通勤で使っているので、本当に痛いです」
値上げの申請は、消費増税に伴う改定を除くと30年ぶり。その背景には業界が直面する問題があります。
(大分バス・平川厚志乗合営業部長)「様々な努力を行いながら取り組んできたが、原油価格の高騰や人手不足を背景に運賃の見直しをせざるをえないと判断した」
大きな要因が、運転士の不足。運転士の数はコロナ禍前から10パーセント減少し、人員確保に向けた負担が増しているといいます。そこに追い打ちかけたのが原油価格の高騰です。
(平川厚志乗合営業部長)「当社の場合、1円軽油価格が上がると、年間で300万円の負担増となる。最近の状況をみると、数千万単位で響いている」
厳しい経営環境のなか、路線バス事業は一昨年度、およそ4億5000万円の赤字を計上。値上げが実現すれば来年度の赤字額を1億8000万円程度に縮小できる見通しです。
(大分バス・平川厚志乗合営業部長)「ご負担をお願いすることになるが、バス事業を継続して、これからも行っていくためには必要なことだと思うので、ご理解をいただきたい」
県内では亀の井バスがすでに6月に運賃引き上げを申請しています。申請認可されれば12月から値上げに。また大分交通も「引き上げ申請の方向で検討している」ということです。
日常生活にかかわる交通機関の値上げは、家計の新たな負担増にもつながりかねません。