物価高が続くなか市民の暮らしの助けとなるのかー。家庭でいらなくなった家具や家電、長年、眠っていたランドセルまで無料で引き取り、格安で販売する拠点が富山県南砺市にある変わった場所に誕生しました。特徴は「官民連携」。行政を巻き込んで地域のリユースの輪を広げます。

富山県南砺市にある「福野市民センター」の倉庫の一角に現れたのは、不要品を集めて販売するリユースの拠点「Re・なんと」です。店内には学習机が4400円、オーブントースターが2700円など家具や家電、雑貨からランドセルといった学用品まで1000点を超える品物が格安で販売されています。取材したオープン3日目のこの日も、続々とお客さんが。
客:「何か掘り出し物あるかなと」
客:「とりあえず見てみようかなと。あと逆にいらない物あったら持ってこようかなと」
ここを作ったのは廃品のリサイクルなどを行う南砺市の老舗企業、林商店。実は、商品の多くが空き家などから発掘してきたものだといいます。
林商店・林紀孝社長:
「世の中がコロナ禍になったときに、実は色んな依頼が飛び込んできました。それは何かというと『家を片付けて欲しい』というものです。片付けていると、懐かしいものがあるなと。割と大きなお家を片付けさせてもらった時に、たぶんその家の娘さんの部屋だったと思うが、かわいい机があったので…こういうきれいなものが廃棄されているんです。実際まだ使えるのに」

林商店では2019年に新事業として遺品整理や空き家の片付け代行作業を始めると、依頼が殺到したといいます。
林社長「(Re・なんとで)見てもらったようなものを全て廃棄していた。なんかもったいないなとずっと思いながら…」
林さんは、南砺市が新たな地域ビジネスの立ち上げを支援する「なんと未来創造塾」を通じて、市に不要品の販売や引き取り事業を提案。その結果、市との連携が決まり、デッドスペースとなっていた市の倉庫の一角を借りて10月7日「Re・なんと」のオープンが実現したのです。
ここでは販売だけでなく無料での引き取りも行っています。
ランドセルを持ち込んだ客:
「娘の小学校の時のランドセルと、中学校のときの通学バッグ。正直どこに出せばいいかわからなかったということと、思い出の品なので、あるところへ持って行ったらまた再利用されるって聞いたので」
林さんはこの事業で、南砺市から1年間で出る粗大ゴミの1%にあたる約7トンを削減できると見込んでいて、市は広報紙への掲載や交付金の支給などで「Re・なんと」の活動を後押ししていきます。
林社長「地域内のリユースをとにかく活性化して、ゴミをちょっとでも減らしていきたい。これが僕の夢ですし、行政と連携をして粗大ゴミを減らす。その中心的な役割、存在になっていきたいと思っている」
使用している市の倉庫は家賃が年間50万円ほどで南砺市の収入になります。行政にとっては公的施設の維持管理費が負担となるなか、メリットにもなっています。林商店は、今後、地域の自治会なども巻き込み、お年寄りも簡単にリユースできる仕組みを作りたいということです。