リードを奪った新井監督は、続く4回のマウンドに、なんと2年ぶりのリリーフ登板となる 床田寛樹 を送ります。しかし、その床田が、誤算でした。味方のエラーもからみ、2イニングを投げて4失点。逆転を許します。

なんとか追いつきたいカープは、リードを許したそのウラ。先頭打者の末包が、ツーベースヒットで出塁すると、前の打席でホームランを放った小園。この日、3打点目となるタイムリーヒットで2点差に詰め寄ります。

そして迎えた6回表、大歓声の中、マウンドに上がったのは、この日が最後の登板となる 一岡竜司 。

実況
「新井監督が、一岡竜司にボールを渡しました。ナインは守備位置にまだつきません。全員がマウンドを囲んでいます。あまりこういう光景は見たことがありません。西川龍馬が外野のはずなのにマウンドの後ろにいる。(投球練習)最後のコールです。一岡竜司がマウンドに上がっている。この光景だけでいかにチームに貢献したか、いかに愛されたかがわかります」

一岡は、阪神の島田を相手に全てストレート勝負。そして8球目…。外角への渾身のストレートで見逃し三振! 役目を終えた一岡は、3連覇を果たしたときにともにブルペンを守った 中﨑翔太 に後を託し、現役最後のマウンドを降ります。

その後、カープは9回に追い上げを見せたものの、あと一歩届かず、リーグ最終戦は1点差で惜敗。2位確定とはならず、今シーズンの最終順位は、4日のDeNAの結果を待つことになりました。

広島カープ 新井貴浩 監督
「開幕前のわたしたちのチームに対する評価は決して高いものではありませんでした。その悔しさをバネに『よし見とけよ』という思いで選手ががんばってくれたおかげでCSに進出することができました。正直に申しまして、きょうの負けはめちゃくちゃ悔しいです。この悔しい気持ちをもって、全員でCS戦っていきます。ありがとうございました」

シーズン終了セレモニーに続いて、一岡の引退セレモニーが行われ、プロ12年間の思いをファンに語りました。

広島カープ 一岡竜司 投手
「カープファンの熱い声援、一体感のある応援はいつもぼくの背中を、そして、きょうも押してくれました。ありがとうございます。きょうのような赤く染まったスタジアム、このマウンドからの最高の景色はきょうで引退しますが、一生忘れることはありません。本当に幸せな12年間でした。ありがとうございました」

穏やかな人柄と熱いマウンドさばきでファンやチームメイト、スタッフから愛された一岡。最後にグラウンドを一周し、ファンに別れを告げました。