価格を監視する「ネッシー」

その一つが、「ネッシー」と呼ばれる独自の監視プログラムの運用。出店者がアマゾンとは別の通販サイトで同じ商品をより安く販売していないか、ネット上を監視しているというのです。この「ネッシー」が、そうした商品を発見した場合、出店者にさまざまな「罰」を与えているとFTCは主張。

例えば、その出店者の商品が検索されても見えづらい位置に表示することや、商品を購入するためのボタンを商品ページに表示させないことなどが指摘されています。

他にも、商品の発送の際に、よりコストがかかるアマゾンの物流サービスを使うことや、広告料の支払いを強要することなどによって、出店者の売り上げの半分近くがアマゾン側に流れていると指摘。

結果として、消費者も割高な商品を買わされていると主張しているのです。これに対しアマゾン側は「自分たちのやり方によって商品は安くなっている」と真っ向から反論しています。

「帝国」批判の急先鋒

アマゾンを提訴したFTCを率いるのは、リナ・カーン委員長。大学生の時に書いた論文でアマゾンなどIT大手の独占状態を厳しく批判して、その名を知られ、2年前、バイデン政権によって32歳という若さでFTCのトップに抜擢されていました。

ただ、その後、メタとマイクロソフトを相次いで提訴しましたが、いずれも敗訴しています。しかしカーン委員長は、アマゾンを本丸と位置づけているとされ、世界のネット通販を牛耳る巨大企業との対決の行方が注目されています。

(「サンデーモーニング」2023年10月1日放送より)