SDGsを考えるシリーズ「つなごう沖縄」。
音楽に合わせて一瞬で表情を変える中国の伝統芸能「変面」などを披露する劇団が、読谷村で活動しています。
名前は「ジャオホイ劇団」。活動で得た公演料をもとに、子どもたちにランドセルを寄付する活動を行っています。
地域を笑顔に、そして健康にする活動をお伝えします。
音楽に合わせて、一瞬にして表情を変える中国の伝統芸能「変面」。披露するのは、読谷村を拠点に活動する「ジャオホイ劇団」です。
団員は保育園児から77歳まで、20人あまり。村内の保育園や福祉施設を中心に公演しています。この日は、渡具知公民館で開かれた敬老会のステージを盛り上げました。

観劇したお年寄りは
「今まで80年余り、こういう感じは見たこともない。きょうは非常にありがとう。非常に喜んでいます。この周囲みんな喜んでいますよ」
「珍しいからバチない(たくさん)撮ったのよ僕は。今まで僕は見たことなかったから。今までほとんど民謡ショーがほとんどだったから、いや、これ面白いなと思ってスマホで撮ったの」
「あの早変わりが大変面白かったです。今まで見たことなかったので、新しい試みで、大変良かったです。みんな満足しています」
公演を依頼した区長
「本日は本当にありがとうございました~素晴らしい敬老会ができました」
ジャオホイ劇団・照屋恵子さん
「ありがとうございまーす。ランドセル購入に充てさせていただきます」
実は、公演のお礼に渡される謝礼金はすべて、村内の子ども達のために使われます。
ランドセルを購入し、村の社会福祉協議会を通じて、きょうだいが多い家庭や収入が少ない世帯へと、届ける活動をしています。

公演を依頼した区長
「とっても素晴らしい活動だと思いますね。やっぱり、なかなか生活が困難で、ランドセルが購入できない家庭が多いと思います。高いでしょ、ランドセル。だからいい活動だと思います」
県によりますと、5歳児の保護者を対象にした調査では「学用品やランドセル購入費が不足しそうか」という問いに対し、全体ではおよそ2割、低所得層のおよそ半分が「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答しています。

村の社会福祉協議会によりますと、ランドセルを受け取った家庭から「おさがりランドセルが壊れそうになっていました。これで安心して学校に通えます」「双子で用意するのが大変でした、ありがとうございます」といった声が寄せられています。
「予期せぬ出来事もいっぱいあったからね」
劇団の団長を務める照屋恵子さん、69歳。
数年前、ランドセルを買えず、リュックサックで入学式にきたという新入生がいたことを知り、ランドセルを寄付する活動を始めました。
活動の背景には、自身の経験がありました。
子育て真っただ中で夫が失業。その後、自身も病に倒れるなど、災難が続きました。

ジャオホイ劇団・照屋恵子さん
「こういう時に子どもがランドセル買ってもらえない子どもの気持ちが手に取るようにわかる。買ってあげられないという親の気持ちも手に取るようにわかる。だから、黙ってられなくて、とりあえず買って持っていきましたね。ランドセルを」
これまでに寄付したランドセルは20個あまり。2年前、劇団を立ち上げる以前は、1人で活動していました。

7年前、民泊を受け入れた中国の観光客から「変面」の話を聞いて、興味を持った照屋さん。本場・中国へ渡り、修行を積みました。
ジャオホイ劇団・照屋恵子さん
「私が最高齢で、最初、あなたがやるの?みたいな感じでしたからね。行って2日目くらいですかね、ここに来たの間違いだったかもしれないと。本当に思いましたね」
60代、最後の挑戦だと腹をくくり、変面を習得。
地域で披露していましたが、ランドセルの寄付活動を始めると、友人が加わり、劇団を発足。
公演を重ねる度に、シニア世代のメンバーが増えていきました。

ジャオホイ劇団・照屋恵子さん
「シルバーさんたちのシニアさんたちの生きがいづくり。やっていて楽しい。見ていただいて嬉しいし、お金をいただいてランドセルに変えられて嬉しい」
子ども達の学校生活のスタートを支え、シニア世代が活躍する場を生み出す活動は、SDGsの目標にも繋がっています。
ジャオホイ劇団・伊波さん
「強制ではない。きょうは私は休みますよと言ったら、いいよ、じゃあまたその代わりはやってくれるよと団長のこの優しさです。それが長く続けられる秘訣だと思います」
ジャオホイ劇団・興久田さん
「一番最高齢なんですよ。その年でこういう活動できる、ボランティアできるというのが、とっても私これからの楽しみにしています。とってもいいです。いい運動にもなるし、体の為にもいいなと思っているんですよ」
ジャオホイ劇団・照屋恵子さん
「本当は(ランドセル寄付というのは)なくなった方がいい。でも必要とする子がいる限り頑張ります。通称、シルバー劇団ですので、10年後はね、(最高齢劇団として)ギネスに挑戦というのが合言葉ですよ」

次々と表情を変え、見る人を笑顔にする変面。
ジャオホイ劇団は、きょうも地域に幸せを届けます。
【記者MEMO】
ジャオホイ劇団という劇団名、気になりますよね。団長・照屋恵子さんの名字と名前から1文字ずつ取って「照恵(じゃお・ほい)」。
陽に恵まれてすごく演技がいいということで、現地・中国の方がつけてくれたそうです。