領有権の根拠は600年以上も前の時代?

ではなぜ、中国はここを自国の領域と主張しているのでしょうか?話は600年以上前、明の時代までさかのぼります。永楽帝の命令を受けた武将・鄭和(ていわ)が、大艦隊を率いて、東南アジアの国々を訪問。各地の特産物を貢物として明に贈らせる朝貢貿易を盛んに行ったのです。当時、中国人は南シナ海全域に進出して島々に名前を付けていたといいます。もちろん、国際法で領海が定められるはるか以前のことで、中国の専門家、拓殖大学海外事情研究所・富坂聰教授は「中国はこうした遥か昔の歴史を根拠に、この海域を中国のものと主張している」としています。

「九段線」が拡大?「十段線」に

今回の地図では、これまで「九段線」とされてきた境界線ですが、一本増えて「十段線」となっているのです。増えたのは台湾の東側で、周辺国は懸念を強めていますが、富坂教授は「こうした主張は、中国側がこれまでも繰り返してきたもので、これほど各国から批判が上がるとは思っていなかったのではないか。実効支配を強めてきた自信も感じられる」と話しています。

(「サンデーモーニング」2023年9月10日放送より)