ASEAN開催を前に中国が発表した“新しい地図”が周辺国との間で摩擦を引き起こしています。特に南シナ海については、国際法に基づく「領海」の範囲を大幅に超えてほとんど全域の“領有権”を主張。そのエリアを囲む「九段線」が意味するものとは?そもそも、なぜここまで大胆な主張をするのでしょうか?歴史を遡ること600年以上、「明(みん)」の永楽帝や鄭和の時代を背景にした意外な理屈がありました。手作り解説でお伝えします。
波紋を呼ぶ中国の「新しい地図」

8月末、中国が公表し、ASEANの会議でも周辺国が反発した地図。例えば、尖閣諸島は中国表記の「釣魚島(ちょうぎょとう)」と書かれ、インドが実効支配しているアルナチャルプラデシュ州などが中国の領土と表記されています。そして、南シナ海に至っては、中国本土から遠く離れたこの点線で囲まれた海域すべてが“中国の領域”という主張なんです。このエリアは、その形から「中国の赤い舌」「九段線」などと呼ばれてきました。もっとも摩擦を引き起こしているのがこの南シナ海で、この海域を詳しく見ていくと…。
「領海」とは? 各国の反応

そもそも国連海洋法条約で定められた「領海」は、海岸から12海里、約22kmの海域です。そこを超えて広い範囲を中国は自国の領域だと主張しているのです。今回の地図について、この海域のフィリピンは「主張には国際法上の根拠がない」ベトナムは「我が国の領有権を侵害している」などと一斉に批判しています。
南の海で実効支配進める中国

中国はすでにここで実効支配を強めていて、例えばフィリピンやマレーシアなどが領有権を主張している南沙諸島では、2006年には何もなかった岩礁に、中国は埋め立てを進め、2022年の写真では滑走路がある軍事基地となっています。ベトナムが領有権を主張する西沙諸島でも、軍事拠点化を進め、戦闘機が活動する様子も写されています。














