今年大流行した「RSウイルス」。ワクチンの使用が国内で初めて承認される見込みです。さらに、気を付けるべき感染症「新型コロナ」「インフルエンザ」についても医師に聞きます。
国内初承認 60歳以上が対象

8月28日、厚生労働省の専門部会が、国内で初めて「RSウイルス」ワクチンの使用を了承しました。
「RSウイルス感染症」は、発熱など風邪のような症状が出て、幼い子どもや高齢者では肺炎を引き起こし重症化する恐れがあります。

今回承認されたのは、イギリスの製薬会社「グラクソ・スミスクライン」が開発したワクチンです。
対象は60歳以上の成人で、発症を防ぐ効果に期待が寄せられています。
今後正式に承認されれば、国内では初めてということになります。
開発した製薬会社によると、
国内でRSウイルスに感染して入院した60歳以上の人は、1年間で約6万3000人。さらに死亡原因とされているのが4000人ほどと推定されています。
恵俊彰:
日本では60歳以上なんですね。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
そうですね。小さいお子さんのワクチンも望まれるところではありますけど。
おそらく治験データなどが出てアメリカで順番に承認されて、それが日本にくるタイミングが一番早かったのが今回の高齢者用のものということだと思います。
恵俊彰:
改めて「RSウイルス」について教えていただけますか?
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
普通の風邪から、下気道に行って気管支炎、さらには細気管支炎といってかなり末梢の細い気管支のところまで炎症がいきますので、小さいお子さんですと気道が狭くなって、重い喘息みたいな症状になり酸素飽和度も下がり入院が必要になります。
小さいお子さんにとっては非常に脅威になりますし、医療の逼迫にも関わってきます。
現場ではあまり高齢者の方で検査ができないので、どのくらいの方がRSにかかっているか実感はないんですけど、データによるとインフルエンザに並んで、高齢者の特に基礎疾患がある方の入院や死亡の原因にもなっています。
恵俊彰:
RSウイルスは検査できないんですか?
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
1歳未満のお子さんや、基礎疾患のある方で留意するような方には一部適用があるんですけれども、なかなか保険適用が厳しい。
高齢者に関しては、抗原検査での陽性の感度が高くないようなんですよね。
下気道にいるので鼻の奥などにあまりウイルスがいなくて、微量のウイルスを検出するのが難しいと。
PCRでないとなかなか検出できないけれども、汎用されないという状況です。