引きこもったから人の辛さに寄り添える 今はいろんな人に出会えて嬉しいんだ

舞台演出家になって、いまは人との触れあいがうれしい

牧野:当時を振り返って、いま、思うことはどんなことですか?

宮本:いま言えることは、「そんなに苦しまなくてよかったよ、大丈夫だよ」って、当時の自分には言ってあげたいですし、僕は不登校があったから、いまがあるんです。あれがなかったらブレーキをかけられなかったかもしれない。もう巨大なブレーキだったけども、親が「ずっとお前は大丈夫。いま、苦しいけど絶対大丈夫だから。お前を愛してるよ。お前のことは大切だよ」といい続けてくれたことが、僕の最後の支えになっていたというのはありますね。

牧野:そこに愛があったんですね。

宮本:お前はだめだとかいわれちゃったら、本当にそれを全部真に受けちゃうくらい当時は繊細になっていたので、「大丈夫だよ」と母がいってくれて、1人でも「大丈夫だよ」って家族が声をかけてくれたことが僕の救いになりましたね。

牧野:辛い経験があったからこそ、いま、頑張れているというところもあるんでしょうか?

宮本:そうですね。お陰さまで役者さんも舞台関係じゃない人の出会いでも、みなさんいろんな辛い経験は必ずしてるはずなので、そうした気持ちがわかるので、それをドラマにしたり、舞台にしたり、経験がすべて宝物になったりしているんですね。僕は今、本当に仕事させてもらってうれしいし、いろんな人に出会って、僕も自分の経験をオープンに話して、仕事ができるのはあの経験があったからだと思います。