岸田総理は、22日午前、関係閣僚会議を開き、福島第一原発の処理水の海への放出について、24日にも始めることを決めました。岸田総理は、処理水の処分が完了するまで、今後数十年にわたり、政府として責任を持って取り組むと述べました。
これに対し、漁業者からは「魚が売れなくなったら」と不安の声があがっています。50年以上にわたって漁師を続けている男性は、処理水の海洋放出について「納得していないのにおかしい」と憤りをあらわにしました。
漁師・小野春雄さん「あまりにもおかしいですよ。話し合いをして我々が納得して流すんだと私は思っていたんですよ。」
福島県新地町で50年以上漁師を続ける小野春雄さん(71)は、政府が現場の声に向き合っていないと話します。
小野春雄さん「総理大臣が言ってたでしょ『聞く耳を持つ』って。あれはどういう意味なの?なんで福島に来て我々の話を聞かないの?福島県の漁業者は誰一人納得している人はいない、みんな反対なんですよ」
処理水をめぐって国と東京電力は2015年、「関係者の理解なしにはいかなる処分もしない」と漁業者に約束していましたが、「見切り発車」と言える放出が決まりました。
Q.一番不安なことは?
小野春雄さん「魚が売れないことでしょ。」
また、小野さんは底引き網漁が解禁となる9月を避け、8月中の放出を決めたことにも疑問を呈します。
小野春雄さん「もし最悪の場合風評のせいで売れなくなったら、底引き網漁大変でしょう。あと1週間で風評払しょくできるの?だから考えが浅はかなんですよ」
政府は、処理水の放出後、3か月間はその周辺のトリチウム濃度を週1回測定し、モニタリングを強化するとしていますが、関係者には不安が残ります。
小野春雄さん「将来のために子々孫々が平和で安心で、この福島県の海で漁ができればいいんですから、それが今不安だから騒いでいるんです」
▼処理水 福島の葛藤
処理水の海洋放出について日程が決まりましたが、関係者の理解や風評への懸念など、課題は残ったままです。TUFでは、処理水をめぐる課題や現状をシリーズでお伝えしています。














