アメリカで開かれた日米韓首脳会談を終え、岸田総理らは中国や北朝鮮を念頭に安全保障をはじめとした幅広い分野での連携強化を確認し、“新時代を開く”と強調しました。その狙いと課題について現地から報告です。

岸田総理ら3人の首脳は日米韓パートナーシップの「新時代」を宣言し、これまで以上に幅広い分野での協力を打ち出しました。

岸田総理
「3カ国の戦略的連携の潜在性を開花させることは、我々にとっての必然であり、時代の要請でもある」

3人は、日米韓の中長期的な協力の指針「キャンプデービッド原則」と、具体的な協力の枠組みを示した共同声明「キャンプデービットの精神」を発表しました。北朝鮮を念頭に置き、▼共同訓練を毎年実施すること、▼情報のリアルタイム共有を強化することなどで一致した他、サイバー、経済安全保障、地域情勢など多岐にわたる分野での協力に合意しました。

さらには、首脳や閣僚などの会談を「少なくとも年1回」実施することでも一致しています。

こうして制度的に3か国の結びつきを強くし、結束をアピールすることにより、中国や北朝鮮を牽制する狙いがありますが、かえって対立を深め情勢が緊迫する可能性も否めません。

また、岸田総理には韓国国内でも反発の声が大きい福島第一原発のALPS処理水について、海洋放出の時期を決定するという大きな政治決断も迫っているなど、日韓関係において懸念材料を抱えているのも事実です。今回の会談が本当に「歴史的なもの」になるのかどうか、注視する必要があります。

一方、中国国営の新華社通信は19日、日米韓首脳会談について「中国脅威論というデマを拡散させた」と批判しました。

3か国について「アメリカ主導で排他的なグループを形成し、アジア太平洋の平和と安定、繁栄を脅かしている」と主張したうえで、「日本と韓国はアメリカの覇権の駒になるべきではない」としています。