防衛省は自衛隊と防衛省の全組織を対象としたハラスメントに関する「特別防衛監察」の結果を公表しました。被害の申し出は1325件あり、このうち6割以上は窓口などに相談していなかったことがわかりました。

防衛省は元陸上自衛官の女性が訓練中の性被害を訴えていることを受け、去年9月から全ての組織を対象に特別防衛監察を実施していました。

防衛監察本部が被害を申し出た人すべてに聞き取り調査を行った結果、ハラスメントの被害申告は1325件にのぼりました。パワハラが1115件と最も多く、セクハラ、マタハラが続いています。このうち64%にあたる850件は、内部の相談員や相談窓口を利用していなかったということです。

その理由について、「相談しても改善が期待できない」「相談出来る相談員や窓口があることに思いが至らなかった」などの回答があり、実際に相談した場合でも対応が消極的だと感じた人が非常に多かったとしています。なかには、▼人事への悪影響を示唆されたり、▼加害者に知られるケースもあったということです。

これまでに8件が懲戒処分されていて、防衛監察本部は今後さらなる調査を行い、懲戒処分が必要と判断された場合には迅速に対処していくとしています。

ハラスメントの防止対策を担う防衛省の有識者会議は「組織としての姿勢を明確にし、自らに関わる重大な問題であるという認識を1人1人に醸成していくことが重要」だと指摘。▼3か月を目標とする懲戒処分の迅速化や、▼懲戒処分が行われた場合、全隊員に周知するといった改善策を提言しました。

防衛省の担当者は調査結果について、「今の防衛省・自衛隊のハラスメント被害の実態を反映しているものであると重く受け止める必要がある」としています。

ハラスメント防止対策の提言と調査結果を受け浜田防衛大臣は、「抜本的な対策を早急に検討・確立することが急務」だとしたうえで、「ハラスメントを一切許容しない組織になったと国民から認めてもらえるよう取り組んでほしい」というメッセージを出しました。