フィギュアスケートのシーズン初戦となる大会、げんさんサマーカップ(滋賀・大津市)が8月11日~14日の4日間にかけて開催。大会最終日となるこの日は、女子のフリーが行われ、2023年世界選手権金メダリストの坂本花織(23、シスメックス)は、ステップとジャンプで転倒し3位に終わった。
ショートプログラムを全体2位で迎えたこの日、大歓声の中登場した坂本のフリーが始まった。
ミステリアスをテーマに作った新プログラムの楽曲は「Wild is the wind / Feeling good」。ダークブルーの衣装を身にまとい、最初のダブルアクセルを美しくまとめると、勢いそのままに続く3回転ルッツ、3回転サルコウを雄大に決めた。しかし、その後のステップシークエンスでは、氷上の溝に引っかかってしまい、バランスを崩し転倒。それでも続く3回転フリップ+2回転トウループ、3回転フリップ+3回転トウループと連続ジャンプを見事成功させた。
しかし、体力も無くなってくる後半のダブルアクセル+3回転トウループ+2回転トウループの連続ジャンプでは、最後の2回転トウループの着氷で転倒。精彩を欠いた坂本は、フリーでは120.34点。ショートと合わせて合計187.62点で3位となった。
試合を終えた世界女王は結果に囚われず冷静だった。
「点数も順位も妥当といえば妥当。とにかく心配な要素が多かったので、出来るジャンプは確実に決めようという気持ちで今日はやった。途中のステップでコケてしまったので、そこで集中力が切れてしまったのが一番大きかった。減点された部分をこれからいっぱい練習してクオリティの良いものにして、総合的に見てもっといいように出来たらいいなと思っています」
3月の世界選手権で連覇を果たした昨シーズン終了後、坂本はスケート人生で初めて“スケートをしないオフ”を作ったという。
「1回落とすというか、1週間以上滑らない期間を作ってみてどうなるかを試したかった。いい方向には行けている。初めてオフの過ごし方で成功したかなって」
新たな試みで迎えたシーズン初戦。前日のショートプログラムでは、新しいプログラム「Baby,God Bless You」を観客の前で初披露。命の誕生を描いたドラマ「コウノドリ」のテーマソングとしても扱われたこの楽曲は、坂本自らが選んで決めたという。
「お姉ちゃんが2人いて、今年1月に甥っ子、3月に姪っ子が生まれたんですが、凄く嬉しくて、毎日のように写真を見返したり、お姉ちゃんからのLINEで動画を見たりしています。それが凄く力になっていて、この力を演技に変えたいと思ったんです」
自ら楽曲を決めたのはスケート人生で初めてだという坂本。産婦人科の知り合いと関わる機会もあり、それも選曲理由の1つになったという。
「今シーズンも、ショートとフリーは今まであまりやってこなかった曲調のプログラムになっているので、まだまだ足らない所がたくさんある。練習を積んで、試合でも積んでレベルアップ出来るようにしていきたいし、1つ1つ良い経験と思って糧にして、次に進めていけたらいいなと思っています」
「目標は世界選手権と全日本選手権の3連覇」と話す坂本、世界女王の新たな一年が幕を明けた。
【げんさんサマーカップ】
優勝 吉田陽菜(17、木下アカデミー) 198.95点
2位 住吉りをん(19、オリエンタルバイオ/明治大) 198.27点
3位 坂本花織(23、シスメックス) 187.62点