沖縄戦当時、伊江島で戦禍を逃れた男性が2年に渡って隠れていたガジュマルの木が、台風6号の影響で倒れました。地元の人たちからは復活を望む声があがっています。

台風の風にあおられて根本から折れてしまったガジュマルの木。

ニーバンガズィマールと呼ばれるこの木は、沖縄戦当時、2人の男性が戦禍を逃れようと身を隠し、戦闘終結後も出てくることなく、戦時中から数えて2年間隠れ続けた場所で、平和の象徴として伊江島の人達から大切に守られてきました。

「宮崎県出身の男性と2人で」木の上に身を潜め続けた佐次田秀順さんをRBCでは2005年に取材していました。

佐次田秀順さん(当時87歳)
「壕には行きどころが無いから、あっちこっち探しまわった場合に、屋敷にガジュマルが生い茂っているところに出会った」

旧日本軍に召集され、伊江島で沖縄戦の戦闘に参加した佐次田さんは当時28歳。昼は木の上で動かず過ごし、夜は駐留軍のゴミ捨て場から食糧を取ってくるという、過酷な日々を過ごしました。

佐次田秀順さん(当時87歳)
「どうして終わるか、殺されて終わるか生きて終わるかわからない」
Q2年間は長かったですか?
「長かったよ。平和な10年より長いみたいな感じだった」

14年前に亡くなった佐次田さん。
ニーバンガズィマールが折れたという知らせを聞いて、次男の佐次田満さんが9日に伊江島を訪れました。


佐次田満さん
「うちの親父の命の恩人というか、父親を助けてくれた木ですからね。やっぱり今回の台風きつかったのか、こんな倒れてしまって非常にショックですね。私はここに住んでいるわけではないので、絶えず見ることは出来ないですが、地域の人達が育てていってくれたら、私たちも嬉しいなと思いますね」

木を管理している宮城孝雄さんは…。

木を管理する宮城孝雄さん
「3日の朝この状況を見て大変ショックだったんだけど、なんとか生かしていきたいという思いで今進めています」

伊江村によると村民からもニーバンガズィマールの復活を願う声があがっていて、今後、木を再生させるための方法を専門家などを交えて検討するということです。