2023年7月4日、静岡県掛川市や菊川市などで大きな被害があった突風。この突風について気象台は「ダウンバースト」か「ガストフロント」が発生した可能性が高いと発表しました。この「ダウンバースト」と「ガストフロント」はどういうものなのでしょうか?
7月4日午後5時ごろ、掛川市と菊川市、御前崎市を襲ったひょう混じりの叩きつけるような雨と風。20トン・トレーラーは横転、大型のクレーンは倒れ…ゴルフ練習場では、防球ネットを支える柱が折れました。
<掛川ゴルフガーデン 新貝守正副支配人>
「突然のように東風でダッと、ひょうと一緒に雨が打席の中の方に入ってくる形になって、雨脚が弱まったら向こうの鉄塔が折れていた」
4日午後、被害があった地域で、雨雲は急速に発達しました。けがをした人は4人。建物被害は70件以上に上りました。
気象庁は翌5日から2日間、現地を調査しました。
<静岡地方気象台 上清直隆次長>
「かなりの強風が吹いたことが分かりました」
その結果、静岡地方気象台は突風について、風速は推定55メートルで、「ダウンバースト」か「ガストフロント」が発生したとする見解を発表しました。この「ダウンバースト」と「ガストフロント」。耳慣れない気象用語です。静岡地方気象台に聞いてみました。
<静岡地方気象台 鶴橋茂大 気象情報官>
「発達した積乱雲からの下降気流が地面に衝突することで、周囲に強い突風をもたらすというのがダウンバーストになります。(冷たい空気が)上から降りて来て周辺に広がる現象です」
ではもう1つの可能性とされる「ガストフロント」は…。
<静岡地方気象台 鶴橋茂大 気象情報官>
「積乱雲の中から冷たい空気がやはり降りて来て周囲に広がるわけですけれども、周辺との温度差、空気の差ですね。それによってその境のところで強い風が吹くと。これがガストフロントになります」
「ダウンバースト」と「ガストフロント」。この2つの突風は全国でも7月に多く発生しています。7月11日と12日、埼玉や茨城など関東で発生した突風被害もダウンバーストかガストフロントの可能性が高いと発表されました。なぜ7月に多く発生するのでしょうか?
<静岡地方気象台 鶴橋茂大 気象情報官>
「当日30℃近く内陸の気温が上がっておりました。地上付近と上空5000メートルくらいのところの温度差は、上がマイナス9℃、下が30℃近いということで40℃くらいあって、非常に大気の不安定な状況になりやすい温度差であったことは言えるかと思います」
今回の4日の突風は推定で風速55メートルとみられます。これは比較的強風を観測することが多い近くの御前崎で過去に観測した風速より大きかったということです。
東海地方は20日に梅雨が明け、本格的な夏になりますが、これから心配しなければならないのは「竜巻」です。ダウンバーストとガストフロントは7月をピークに少なくなりますが、8月、9月と「竜巻」の発生頻度が増えていきます。竜巻は上空と地上との「気温の差」よりも前線や台風が絡んで発生します。
まだ気を抜けない突風に対して意識しておきたいことです。静岡地方気象台の鶴橋気象情報官は、雲の背が高くなり上空で広がっている、雷が聞こえてくる、雲の周辺が暗くなる、冷たい空気が吹いてくるといった空模様の変化があった時は、頑丈な建物に避難するなどの行動が大事だと話しています。
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