第二次世界大戦そしてロシアによるウクライナ侵攻と2度の戦争に、人生を翻弄された日本人男性がいます。半世紀以上暮らしたウクライナへの一時帰国を果たしましたが、今、何を思うのでしょうか。
先月、ポーランドの空港に降り立った1人の男性。降籏英捷さん(79)。親戚とともに車で向かった先はウクライナです。
降籏英捷さん
「50年以上暮らしたウクライナは私の故郷。生まれた日本は心の故郷です」
第二次世界大戦の終戦時、2歳だった降籏さん。かつて「樺太」と呼ばれたサハリンに一家で住んでいましたが、当時のソ連軍の侵攻の影響で残らざるを得ず、現地で結婚。その後は妻の故郷のウクライナに移り50年以上暮らしていましたが、去年2月のロシアの軍事侵攻で状況は一変します。
去年3月、自宅のあるジトーミルが爆撃を受け、孫の家族たちとポーランドに逃れました。その後、降籏さんはきょうだいがいる北海道に。すでに他界し、ジトーミルに眠る妻と息子の墓前には告げられないまま、両親の故郷・日本に残ることを決めました。
しかし、「がん」が判明し本格的な治療を始める前に、もう一度、ウクライナを訪れたいと考えたのです。
降籏英捷さん
「こんにちは。おじいちゃん抱っこしていい?泣かないの?」
去年11月にウクライナで生まれたひ孫と初めて会えました。日本へ避難していた孫の妻は、出産にあたりすでに帰国していました。爆撃の影響で停電となり、緊急バッテリーが稼働する中でひ孫は生まれました。
降籏さんの孫の妻 インナさん
「一刻も早く戦争が終わってほしい。早い勝利を期待しています」
降籏さんは次の世代への影響を心配していました。
降籏英捷さん
「今、ウクライナ国民の大量虐殺が起こっています。戦争の恐怖を体験した子どもは、一生忘れられません」
およそ1年ぶりに訪れた妻の墓の隣には、自分のために作った墓が。
降籏英捷さん
「『ウクライナを去るよ』と妻とお別れしました。私のことを心配しないように、妻が天国で安らかに眠れるようにと」
侵攻の影響もありストップしていた息子の墓も、完成のメドがつきました。
およそ1か月間の一時帰国を終え、降籏さんは先週、日本に戻りました。
降籏英捷さん
「妻と息子の墓と別れるのは辛かったです。もう二度と訪れることはないでしょう。ウクライナに残った家族を心配しています。みんなが元気で生きていけるように」
「一刻も早く戦争が終わってほしい」。2度の戦争に人生を翻弄された降籏さんの思いです。
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