国連の安全保障理事会は、内戦が続くシリアで反体制派が支配する地域へ支援物資を運搬する期限を延長することについて採決を行いましたが、否決されました。

国連はこれまで、トルコの国境を通じシリア北西部の反体制派支配地域へ食料などの支援物資を運搬していましたが、10日に期限が切れていました。

このため、安全保障理事会では11日、冬を乗り切るため来年4月まで9か月間支援を延長する案が出され、日本やアメリカなど13か国が賛成したものの、常任理事国のロシアが拒否権を行使して、否決されました。

米・トーマスグリーンフィールド国連大使
「本当に悲しいことです。シリアの人々にとって、そして一国を除くこの理事会にとっても悲しいことです」

一方、ロシア側は、支援はシリアの主権をないがしろにするもので、アサド政権への制裁によってシリア国民は苦しんでいる、などと主張。延長期間を半年間にとどめる独自の案を提出しましたが、賛成したのは中国のみで、否決されました。

国連のグテーレス事務総長は、報道官を通じて今回の決議に失望を表明したうえで、「支援はシリア北西部の何百万人もの人々にとって、まさに生命線となっている」と述べ、支援の継続を呼びかけました。