糸満市の伝統行事「糸満ハーレー」で、海に放たれたアヒルを捕まえる「アヒル取り競争」が動物愛護管理法に違反するとして、動物の権利を主張するNPO法人が主催者などを刑事告発しました。一方で主催者側は地域の伝統行事を守りたいと訴えています。
両者の言い分とは。

糸満ハーレーは豊漁や航海安全を祈願する糸満市の伝統行事。「アヒル取り競争」は、ハーレー競技の合間に行われます。
この「アヒル取り競争」が動物への“積極的虐待“にあたり、動物愛護管理法に違反するとして、NPO法人アニマルライツセンターの岡田千尋代表理事が糸満ハーレー行事委員会の委員長と、参加者2人を県警に刑事告発しました。
告発の内容は、参加者2人が「アヒルの首をつかんで捕獲した」というもの。

委員長に対しては「暴力的な行為が発生することは予測できたが実効性のある対策を取らなかった」などと指摘しています。
NPO法人アニマルライツセンター・岡田千尋代表理事
「食べ物として利用する動物たち、食べ物として命を奪うわけですね、屠畜をして。そういった動物たちを殺される直前にイベントとして利用して、恐怖や苦痛を与えたうえで殺すということは非倫理的であるというふうに思いますし」
「伝統だったとしてもいろんな形で代替して社会は成り立ってきています。動物虐待という負のイメージを持たないものに変えていただくことが必要だと思います」
岡田代表理事は、生きたアヒルの使用をやめて、動物以外のものを使用することなどを求めています。
一方で、糸満ハーレー行事委員会の東恩納博委員長は…。

糸満ハーレー行事委員会・東恩納博委員長
「大先輩たちが残してくれた糸満の旧暦文化を脈々と継いでいく大きな責任があるんですよ。これを外部から反対されたからすぐやめますとか、そういう問題では僕は決してないと思っています」
「確かに動物を虐待しないようにという指導も受けて、その通り虐待しないように会場アナウンスでも流すし、かつアヒルを取った方々には全部これを配布してアヒルをこの中に入れて傷つけないように持って帰るようにという形で、そこまで配慮しております」
東恩納委員長によると、行事委員会にはアヒル取りに反対する手紙が80通余り、届いています。

糸満ハーレー行事委員会・東恩納博委員長
「ハーレー行事委員会としては、反対の意見もあるということを受けてアヒルを傷つけないように十分注意して大事に扱うようにということで、繰り返しその指導は徹底していきたいと思っています」

10日午前の時点で、県警は告発を受理していないということです。