軍事転用可能な機材を不正に輸出したとして、横浜市の機械メーカー「大川原化工機」の社長ら3人が逮捕・起訴され、その後、一転して起訴が取り消されたことをめぐり、警察庁は6日夜、過去に発行した「警察白書」などから、この事件に関する記載を削除したことを明らかにしました。

「大川原化工機」をめぐっては、社長らが違法な捜査を受けたとして、国などに賠償を求める裁判が行われています。

削除した理由について警察庁は、去年8月、当事者側から「警察白書」の記載を削除するよう要請があったことを明らかにした上で、「起訴が取り消されたことなどを受け、当該事件を不正輸出対策の事例として掲載しつづけることは適切ではないと判断した」としています。

一方、当事者側からの要請にもかかわらず、1年近く削除されなかったことについて、谷公一国家公安委員長はきょう、「民事で係争中の事案であり、白書での記載も実名ではなく匿名であったことなども踏まえ、対応を検討中であったと聞いている」とした上で、「警察庁に対し、削除がこの時期になったという経緯も含めて、丁寧な説明を行うよう指示した。説明することで関係者の理解を得るよう努めていただきたい」と述べました。