東京電力福島第一原発の処理水放出に向けた設備の準備が進む中、福島県いわき市などの「海開き」までは、あと10日あまりです。海水浴場関係者は、複雑な心中を語りました。
震災前、いわき市で最も多くの海水浴客が訪れた薄磯海水浴場の前にある民宿「鈴亀」。2017年、7年ぶりの海開きと共に、海の家も再開しました。
しかし、新型コロナの影響で3年前から海開きを中止。去年からようやく海水浴場に賑わいが戻ってきた中での処理水放出の動きに、民宿の主人鈴木幸長さんは、心中おだやかではありません。
民宿・海の家鈴亀 鈴木幸長さん「ようやくコロナも明けて天気が良くなってきて海開きをするということですが、処理水が夏中に放出するということでお客さんがどうなのかなと私たちは思っています。」
そして、一番心配しているのが、目に見えない「風評被害」です。
鈴木さん「民宿や海の家をしていて、何十年それ(処理水)と闘っていかなくてはならない。風評被害は目に見えませんので、これからどういう形で現れるか分かりませんので、それが一番心配です」
いわき市の4つの海水浴場の海開きは7月15日に行われ、8月15日まで海水浴シーズンを迎えます。
鈴木さんは「関係者の理解」はまだ進んでいないと話していて、また5月に開かれた「海水浴安全対策会議」では、経産省や東京電力の出席はなく、処理水についての説明を直接してほしかったと話していました。
▼処理水 福島の葛藤
処理水の海洋放出に向け、準備が大詰めを迎えていますが、関係者の理解や風評への懸念など、課題は残ったままです。TUFでは、処理水をめぐる課題や現状をシリーズでお伝えしています。













