中国でスパイ行為の範囲を拡大した改正「反スパイ法」が、きょう、施行されました。現地で暮らす日本人は「何をしたら拘束されるのか、誰もわからない」と不安を募らせています。
北京で働く日本人
「どういう行動をしたら拘束されるのかを知りたい。でも、運用するのは中国当局。何をしたら対象になるのか、誰も答えを知らないんだ」
きょう、中国で施行された改正「反スパイ法」。不安を漏らすのは、北京で働く日本人です。
「反スパイ法」が2014年に制定されて以降、これまでに拘束された日本人は17人。ことし3月には、大手製薬会社の男性が拘束され、現地で働くビジネスマンの間に動揺が広がりました。
「反スパイ法」はこれまで、スパイ行為について「国家機密」を盗んだり提供したりすることなどとしてきましたが、改正法では「その他の国家の安全と利益に関わる文書やデータ」の提供などにも適用が拡大されます。
中国に進出している日系企業の団体「中国日本商会」の会長は先月中旬、改正「反スパイ法」について、影響を注視していく考えを示しました。
中国日本商会 本間哲朗会長
「日本企業にとって、中国市場における予見性・公平性・透明性の高い事業環境が今後も維持されることは、非常に重大な関心事」
警戒感を強めているのは日本人だけではありません。中国にある韓国大使館は、地図やデータなど中国の安全保障に関連する資料をインターネットで検索したり、スマホなどに保存したりするだけで法律違反に問われる可能性があると注意を呼び掛けました。
また、EU=ヨーロッパ連合の企業でつくる団体は。
中国EU商会 ジェンズ・エスケランド会長
「投資に必要な情報を調べる企業が、当局の調査を受けています。もし『投資が安全だ』と調べる手段がなければ、企業は投資を行うことができなくなるかもしれません」
経済活動への影響を指摘し、何が法律違反なのか、曖昧さを解消するよう提案しています。広がる懸念に中国政府は。
中国外務省 毛寧報道官
「法律や法規に従い、コンプライアンスを順守していれば、何も心配する必要はない」
そのうえで「いかなる国も国内の立法を通じて、国家の安全を維持する権利がある」と法改正の正当性を強調しています。
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