私はウクライナ南部ヘルソン市内にいます。ドニプロ川の奥、7キロほどのところにロシア軍の前線があり、まさに川を挟んでウクライナ軍とロシア軍がにらみ合っている場所でもあります。

ウクライナ軍は今月上旬から、領土を奪い返そうと本格的な反転攻勢に出ていますが、まさにここもウクライナ側による反攻の可能性が指摘される場所でもあり、数分に一度、砲撃音が鳴り響くなど緊迫した状況が続いています。

そうした重要な局面のさなかに起きたロシアでの反乱ということもあり、ウクライナでの関心は非常に高いです。

地元メディアも連日最新情報を伝え続け、市民の間でも今回の反乱に乗じたウクライナ側の攻勢が強まるのではないかという期待の声が多く上がっています。

ウクライナ市民
「彼らの間で内戦になってほしかった」
「(反乱と反転攻勢は)つながりがある」
「日を追うごとに反転攻勢は、ますます大きくなっていくだろう」

――Q.今回の反乱でウクライナに何か影響は出ていますか?

ウクライナの政権幹部は現時点までに、前線への影響について目立った言及はしていません。一方、地元当局によりますと、ヘルソン市内では、おととい、きのうとロシア側からの砲撃の頻度がぐっと減ったということで、今回の反乱がロシア側前線部隊の指揮系統に少なからず影響を及ぼした可能性は考えられます。

さらに、ロシアが占領する向こう岸にウクライナ軍の一部が渡ったのではないかという情報がけさから出始めているなど、多少なりともウクライナ側に有利に働いていると考えることもできます。

ロシア国内での混乱は収まったとは言えませんので、混乱の深さ長さに応じて、ウクライナの戦況への影響も変わってくるものとみられます。

――Q.今後、仮にウクライナの人たちが自分たちの土地を取り戻したとしても、すぐに暮らせないことなどについて、どんな気持ちなのでしょうか?

ヘルソンでは20日ほど前に上流のダムが決壊し、甚大な被害を及ぼしました。私たちがいるこの場所から1ブロック離れたところにも、浸水で流された地雷がある可能性を想定して規制線が張られています。住宅街では、いまも浸水の被害が続いて、住民らが作業に追われています。

そうした中でも、復旧の前にまずは土地を奪い返すという意識で反転攻勢にのぞんでいますし、住人も私たちは取り戻さなければいけないと口にしますので、多少の犠牲は仕方ないと捉え、今の動きが続いているものと考えられます。