ロシアによるウクライナ侵攻が去年2月に始まって以降、長崎県内には25人のウクライナ人が避難しています。

このうち、佐世保市に避難して1年が過ぎたウクライナ人家族がいます。
アレキサンダー・サマルハ(17)さんと、祖父のオレクさん、祖母のナターシャさんです。
アレキサンダーさんはこの春、佐世保市内の高校に編入。今後はウクライナには戻らず、日本の大学へ進学したいと言います。
オレクさんとナターシャさんも、ウクライナには当分戻れそうにないと考え、日本での新しい事業を考えています。
避難から2年目の家族に、新たな展開が始まろうとしています。

「戦争が終わっても勉強できる環境かわからない。日本の大学に行きたい」

アレキサンダー・サマルハ(17)さん。“アレックス”と呼ばれています。
去年6月、ウクライナから避難してきました。
念願叶い、この春から佐世保市内の高校に通うようになりました。

「友達と授業受けて休憩の時間を過ごして友達と、結構楽しいと思います」

去年2月に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻で、アレックスさんの人生はそれまでと一変しました。

アレックスさんが住んでいた町は、避難の翌月にミサイルが着弾するなど、いまも緊迫した状況が続いています。

ハウステンボスで働いている叔父を頼りに、家族とともに佐世保へ避難してきたアレックスさん。
この1年間日本語学校に通って日本語の習得に励んできました。

アレックスさん:
「戦争が終ってもウクライナが勉強できる環境かどうかわからない。安全な日本にこのまま残りたい」
「日本の大学に行きたいです」

(体育館での集会)
司会:「みなさんおはようございます。サマルハ・アレキサンダーくんです。
ウクライナから来られました」

ことし4月、アレックスさんは佐世保市の九州文化学園高校に、2年生として入学しました。

アレックスさん:
「みんなと一緒に勉強頑張りましょう。いっぱい友達でいたいです。よろしくお願いします」

日本語学校の寮で暮らすアレックスさん。
食事以外は家族とも離れ、異国の地でほとんど1人で暮らしてきました。

アレックスさん:
「高校の前は友達全然いなかった。結構寂しかった。本当に。友達全然いなかったから、今は全然よくなった」

アレックスさんが通うのは、国際社会で活躍する人材を育てる“グローバルコース”
15人ほどのクラスメートとともに授業を受けています。

女子生徒:「吸収が早いけん、逆に教えてもらってます」
女子生徒:「ムードメーカー」
女子生徒:「イケメン。かっこいい」

国語の授業は苦手ですが前向きに取り組んでいます。
漢字も毎日書き取りすることで、少しずつ書けるようになりました。

先生:「書き順も合ってる」「上手!」

梶原 美紀先生:
「“漢字が好き”といって調べて、すぐに。勉強もついていこうとしているから、素晴らしい」

一方で英語は得意。
ウクライナで覚えた英語は発音も完ぺきで、授業中はクラスを引っ張る存在です。

野瀬 正樹先生:
「最初からクラスにも馴染んで、一生懸命日本語を学ぼうとする姿勢もありますし、ウチのクラスの子達にも英語を教えてくれたりとか、すごくいい影響を与えてくれてると思います」

一見、大人っぽく見えるアレックスさんですが、同級生と話す際に見せる表情は17歳の高校生そのものです。

同級生 ケイシー・ロジャーズさん:
「普段は冗談しか言わない。お互い冗談でいつも笑ってる感じ」

同級生 ハンター・サイクさん:
「朝5時半起き。それなのにしっかり自分1人で起きて、自立している。まじめ。やるときやる」