話し言葉が滑らかに出ない、発話障害のひとつ「吃音」。障害への理解を深めてほしいと、香川県さぬき市に「1日限定のカフェ」がオープンしました。

店員を勤めるのは、吃音のある人々。ゆっくりと相手に寄り添う「注文に時間がかかるカフェ」です。

「吃音は、話し言葉が滑らかに出ない、発話障害のひとつです。遮ったり推測して代わりに言ったりせずに、言い終わるまで待っていてください」

「注文に時間がかかるカフェ」で店員を務めるのは、吃音のある若者です。「全国に120万人と言われる、吃音のある人への理解を進めよう」と、当事者でもある奥村安莉沙さんが、2年前から全国で開いています。

(注文に時間がかかるカフェ発起人 奥村安莉沙さん)「オーストラリアに留学してる時に、その町の個人経営のカフェのオーナーさんがカフェの接客に挑戦させてくれる機会があって、そこでやったらすごく楽しくて。吃音があっても接客に挑戦したい人たちが働くカフェをやりたいなと思って」

6月10日、香川県ではじめて、さぬき市の徳島文理大学でオープンしました。高校生や大学生4人が、店員に挑戦します。そのひとり、徳島市の大学生、岡崎由芽さんです。小学生の頃から吃音の悩みがありました。

(岡崎由芽さん)「大学生に入ってから吃音がちょっとひどくなった気がして、吃音を理由に挑戦したいことから逃げている気がして。そんな自分を変えたくて、いろんな人と話ししてみたいです」

「オープンします」

カフェは予約制で、客は1時間に約10人。岡崎さんは一生懸命に注文をとります。

(岡崎さん)「『注文に時間がかかるカフェ』では商品が出来上がるまで、金額が変わらずに同じ値段でさぬきうどんの方も提供させていただけるんですけど、いかがいたしますか」

(訪れた人)「お願いします」

訪れた客には、吃音に悩む親子の姿もありました。

(店員)「別にめっちゃ詰まってても、結局言い方難しいけど、自分は自分やから」

(訪れた人)「どういうふうに困っていて、どういうふうに乗り越えてきたとか、お話聴けたので良かったです」

カフェに置かれた寄せ書きには、店員を励ます言葉や勇気をもらえたなど、前向きなメッセージが書かれていました。

(岡崎由芽さん)「人の前とかで緊張しとったりとかしたら、絶対に言えなかったような言葉とか、言える自信がまったく無かったようなことでも、きょうどもりながらでも言えたので、なんか自信がついたなって思います」

ゆったりとした時間とともに、相手への理解を深める空間。「注文に時間がかかるカフェ」は今後も各地での開店を計画したいということです。