東京の多摩地域で井戸水から「PFAS」と呼ばれる化学物質が検出されていた問題で、きょう、住民を対象とした血液調査の結果が公表されました。検査を受けた半数が健康へのリスクが高まるとされる量のPFASが確認され、不安が広がっています。
東京・国立市に住む関敏之さん(71)。今年2月に受けた検査で、血液から「PFAS」と呼ばれる化学物質が検出されました。
関敏之さん
「汚染が進んでいるんだな。水道(の水を)飲んでいて大丈夫なのか、ちょっと心配はある」
「PFAS」とは発がん性など人体への有害性が指摘されている物質を含む化合物の総称で、多摩地域では過去に水道水に使われている井戸水から高濃度で検出されています。
関さんは生まれたときから70年以上、この地域で暮らしていて、野菜の水やりなどにこの水を使っていました。
関敏之さん
「子どもたち孫たちがこの水をずっと飲み続けて、将来安心して命が保てるのか。(PFASが)体内にどんどん取り込まれ、蓄積してしまうと健康の問題がどうなのか」
きょう、多摩地域では関さんを含む650人の住民に行った血液調査の結果が公表されました。その結果、半数以上の血液から、アメリカ科学・工学・医学アカデミーが定めた基準で健康リスクが高まるとされる量のPFASが検出されました。
調査を行った団体
「血液を検査することによって、大変な実態が明らかになった。人の健康・命を守る、これが国の最大の任務です」
健康への問題が懸念されているこのPFAS。実は日本では河川や水道水などにPFASの暫定的な目標値があるだけです。
しかし、環境省が2021年度に行った調査では、13都府県の81地点で、その基準を上回る濃度が検出されています。
海外ではPFASの法的な規制に乗り出す国もみられる中、国内では今年に入ってからようやく対策の検討会が立ち上げられ、対応の遅さが指摘されています。
今回、調査を行った専門家は「日本国内でも健康被害が起きていないか調査と対策の検討を急ぐべき」と強調します。
京都大学 原田浩二 准教授
「日本においては健康影響とPFASの関係を調べるような調査はほとんどない。基準を定めていく上でも健康影響は、どのレベルで出るかを評価しないといけない」
国際的にPFASへの規制が強まる中、日本国内でも住民の不安を解消する対応の検討が急がれます。
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