インターネットでの買い物の際、魅力的に映る“送料無料”の表示。
今後、消えるかもしれません。

ドライバー不足や輸送量の減少 物流の「2024年問題」

6月2日、政府は関係閣僚会議で、物流業界の「2024年問題」解消に向けた対策をまとめました。

物流業界ではトラックドライバーの残業規制の強化により危惧される、いわゆる「2024年問題」への対策が急務となっています。
現在、残業時間の上限はありませんが、2024年4月から、残業時間の上限が年間960時間に。ドライバーの収入が減ることで、人手不足に繋がるのではないかと見られています。

≪有効求人倍率(国交省資料より)≫
全業種・・・1.18倍
貨物自動車運転手・・・2.08倍

2022年8月時点でも、全職種の2倍近くまで人手が不足している状況です。

また、労働時間が減ることで総輸送量が減少するおそれも。
2024年で輸送能力14.3%減、2030年には34.1%減るのではないかという予想も出ています。

“送料無料”でも運賃はかかっている

「2024年問題」解消に向け政府がまとめた主な対策としては
▼荷待ち等の削減
▼高速道路のトラックの速度規制(時速80キロ)を引き上げ
▼「送料無料」の表示の見直し
▼宅配ボックスなどで再配達を削減

などがあります。

インターネット通販などで「送料無料」と表示されていても、実質的には商品価格に運賃が含まれているケースがあります。
そもそも送料運賃は、荷主と運送業者間で決めているため、立場の弱い運送業者が適正な運賃を得られるように、「送料無料」表示の見直しの検討がなされているのです。

経済評論家 加谷珪一氏は、
「通販業界は送料無料の表示を残したいのがホンネ。ただ現実にはコストがかかっており、消費者の意識改革も必要」
としています。

コメンテーター 松尾依里佳:
ただでさえドライバーの労働環境と賃金が下がっているという状況。
私は消費者として「送料無料」はやっぱりありがたくて、今まで選んでしまってましたけど、そもそも運賃が無料なわけはない。こういう背景があるということをしっかり理解していきたいです。

再配達削減へ ポイント付与も検討

現在、宅配便の再配達率は12%となっています。
政府は、1度目の配達で荷物を受け取った場合、買い物に使えるポイントを付与する案なども検討しています。

落語家 立川志らく:
頼んだらもう次の日に来ちゃうみたいな、便利さに我々が慣れすぎているというのもある。やはり再配達があると、その分仕事が増えちゃうわけです。宅配ボックスだとか置き配だとか、それは我々も考えていかなくてはいけないですね。

恵俊彰:
僕が今利用している運送会社は、メンバーになっていると(ネットで)連絡が来るんですよ。もうそろそろ配達しますけどどうですか、その時間にいらっしゃいますか、置き配にしましょうかって。
だから送る側もすごく努力しているんですよね。

江藤愛アナウンサー:
私達も受け取るときは自分が間違いなく居られるところを指定したりとか。やっぱりちょっとした努力はお互いに必要なんですよね。

(ひるおび 2023年6月5日放送より)