静岡県掛川市の伝統工芸品「葛布」を扱う「小崎葛布工芸」です。「葛布」とは、秋の七草でもある「葛」のツルから繊維を取り出し紡いだ糸で作る織物。鎌倉時代に生産が始まったとされる掛川市の「葛布」は、800年以上の歴史を持ち、日本三大古布の一つとも言われています。
<野田栞里記者>
「きょうのしずおか産は『掛川手織葛布』を使った『日傘』です」
生地の独特な光沢が特徴の日傘。葛布は軽くて丈夫な特徴があるため、日光にさらされ強度が必要な日傘にぴったりです。日光の下で日傘を見上げてみると…。
<野田栞里記者>
「空の青色が絶妙に透けて、陽の光がチラチラこぼれているのがとってもきれいです」
「織子」が動かす機織り機から「糸」が「布」に変わっていきます。日傘の縦糸は綿か絹で、横が葛糸。日光を遮断しつつ、見た目の美しい透け感を出すバランスが必要なため、織子の繊細な技術が求められます。
<織子 小崎誓子さん>
「自然の繊維ですから繊維の太さが全部同じということはないんですね。織っていきながら強さを変えてみたり、あまり強く打つと生地がうんと厚くなる。ごわっとした感じになりますし。そこら辺の加減は何枚か織っているとこのぐらいの厚さかなって自然に覚えるというか」
1本の日傘を作るのに必要な葛布は、長さ1.75m、幅60cm。全て織り上げるのに3日はかかり、仕上がりの雰囲気は織子の絶妙な手さばきでがらりと変わるといいます。
<織子 小崎誓子さん>
「気持ちを落ち着けて織りたいですね。出ます、生地に。やっぱり。イライラしてたりとか何か気にしていたりするとそういう生地になります」
時間と愛情をかけ、織り上げた葛布は傘職人に委託し、日傘になります。約50年前から製造していた看板商品ですが、長年、加工を依頼していた東京の傘職人が亡くなり、生産を一時中断していました。
<小崎葛布工芸 小崎隆志さん>
「いろんなお客さんから『傘を欲しい』というリクエストをたくさんいただいて。いろんなコネクションを使ってようやく京都でこれを作れる職人さんを紹介していただいて」
客の強い要望を受け、2021年から販売を再開しました。
<小崎葛布工芸 小崎隆志さん>
「皆さんワーッと喜んでいただいて。この仕事をしていて良かったと思える瞬間ですよね」
明治30年ごろが全盛期とも言われる葛布。安い外国産の織物や化学繊維の登場などにより、かつては掛川市内に40以上あった織り問屋もいまではわずか2軒です。小崎さんは次の世代へ葛布を残す使命があると力を込めます。
<小崎葛布工芸 小崎隆志さん>
「葛という品物は一から十まで時代に逆行したような作業で出来上がる。先端のものではなく、1000年続く日本三大古布の1つだっていう、それを継承していこうっていう、いまの仕事が誇りでもあります。皆さんにこの良さを知っていただきたい」
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