被告側は全面的に争う姿勢です。熱海市で発生した土石流災害をめぐり、遺族らが盛り土造成に関与したとされる土地所有者らに損害賠償を求めた裁判がはじまり、被告側は争う姿勢を示しました。

<被害者の会 瀬下雄史代表>「おはようございます。しっかり戦っていきたいと思います。再発防止のためにも適正な裁きが下るようにね」
 2021年7月に熱海市で発生した土石流災害では27人が死亡(災害関連死含む)、1人が行方不明となっていて、崩れた盛り土が被害を甚大化させたとみられています。
<中西結香木記者>「土石流は違法な盛り土が原因の人災だったと訴え、盛り土造成に関わったとされる事業者らの責任を問う裁判。原告団が今、入廷していきます」
 訴えを起こしたのは、土石流災害による遺族や住宅などを失った被災者などあわせて84人です。訴状では、2021年7月に発生した土石流は、起点となった土地の盛り土造成当時の所有者や現在の所有者らが盛り土の危険性を認識しながら適切な措置・対策を怠った人災だと訴え、およそ58億円の損害賠償を求めています。5月18日に開かれた第1回口頭弁論で、原告で「被害者の会」の代表の瀬下雄史さんは言葉を詰まらせながら意見陳述を行い、「これは一部の人間の悪質な商行為によって構成された人災だ」と指摘しました。一方、被告側は請求の棄却を求めて全面的に争う姿勢を示しました。
 初弁論のあと、遺族や弁護士らが会見を開きました。土石流で母親を亡くした被害者の会・代表の瀬下雄史さんは。
<被害者の会 瀬下雄史代表>「人生最後にこういった苦痛を受けながら亡くなったということを思い出すたびに悔しいし、かわいそうだったなと(思っている)」
<原告側代理人 加藤博太郎弁護士>「これまでの様々な人の発言を見ていると、誰かが嘘をついている。様々な方々の言っていることが矛盾していて、違っていて、そういう矛盾が明らかになってきた。真相は1つしかないはずです。この裁判の中でその真相を明らかにしていきたい」
 一方、被告側の現在の土地所有者の代理人弁護士も会見を開き、争点ともいえる盛り土の「危険性の認識」について次のように語りました。
<現在の土地所有者の代理人 河合弘之弁護士>「市や県が危険と認識していないものをこちらが危険と思えるはずがない。触るなと言われているから、当局の指示に従って何か触るはずがない」
 原告側は土地所有者らが今回の土石流を予見できた「人災」と訴える一方で、現在の土地所有者は盛り土の存在や危険性は知らなかったとし、真っ向から対立しています。

 今回の裁判では、被告となっている現在の土地所有者の弁護人が県や熱海市、熱海市長に対する「訴訟告知書」を裁判所に提出しました。行政側にも第三者として発言してもらい、真実を明らかにするという狙いがあります。さらに被告側の弁護士は、原告側は県や熱海市、市長を被告に加えるべきと提案。これに対し、原告側の弁護士は行政を訴えることについては被告側による行政への責任転嫁だと指摘しました。違法な盛り土の責任は誰にあるのか?被告の間でも責任を押し付けあうような場面が多々見受けられ、責任の所在を明らかにするのに時間がかかる恐れがあります。