長崎市の潜伏キリシタンの里で守り受け継がれてきたキリシタン伝承の壺に、アルファベットが記載されていることが分かりました。
禁教前の信仰に結びつく新たな発見だとして、16日、長崎県庁で報告会が行われました。

長崎県提供

壺は、長崎の東樫山地区のキリシタンの家に伝承されていたもので、国内で20~30点現存しているとみられる「華南三彩貼花文五耳壺」の一つです。

「華南三彩貼花文五耳壺」は中国南部で製作されたとみられ、16世紀末から17世紀前半頃に日本に渡ったと考えられています。

底には、スペイン語またはポルトガル語でESCENCIA(エッセンシア)という単語が墨で書かれています。
ミサで使う「聖香油(せいこうゆ)」を入れていたものではないかと考えられています。

長崎県文化観光国際部 文化振興・世界遺産課 園田幸四郎:
「(華南三彩貼花文五耳壺に)アルファベットが記載された例はこれまでございませんでした。
禁教にともなって樫山に運ばれ、キリシタンの密かな信仰対象になったものと推測しております」

この壺は県が、潜伏キリシタンの信仰用具の保存と継承を目的に、4年前から実施している調査の中で見つかったもので、長崎市樫山町の個人宅で大切に守り伝えられてきたものです。

アルファベットが記された壺が見つかったのは、全国で初めてで、禁教前の信仰の歴史を紐解く重要な発見だと期待されています。

キリシタン伝承の壺は、今月21日から3日間、長崎市役所に展示される予定です。